最近の経済情勢 2018年8月号
平成30年8月8日
ブラジル・マクロ経済情勢
(1)経済情勢等(7月発表の経済指標)
(2)経済政策等
(3)中銀の金融政策等
(4)為替市場
(5)株式市場
(イ)5月の鉱工業生産指数は,同月発生のトラック運転手ストライキで物流が停止したことを受け,前年同月比▲6.6%となり,13か月振りのマイナス成長を記録したほか,前月比では▲10.9%となり,2008年12月以降で最大の下げ幅となった。
(ウ)5月の小売売上高は,前年同月比+2.7%となり14か月連続でプラスを記録した一方,前月比では▲0.6%となり,1か月振りのマイナス成長を記録した。
(エ)全国の失業率(4~6月の移動平均)は12.4%となり,前回の公表値(3~5月の移動平均)から0.3%下落して3か月連続で改善した。
(オ)5月の貿易収支は,輸出額は202.05億ドル(前年同月比+2.2%,前月比+5.6%)、輸入額は143.20億ドル(前年同月比+13.7%,前月比+7.8%)で,差引き58.85億ドル(前年同月比▲18.1%,前月比+0.3%)となり,40か月連続で貿易黒字を記録した。
(カ)6月の拡大消費者物価指数(IPCA)は,5月に発生したトラック運転手ストライキの影響で食料品価格が高騰したため,単月で1.26%となり,前月の0.40%から大幅に上昇した。また,過去12か月累計では4.39%となり,政府のインフレ目標(4.5%±1.5%)内の水準で推移している。
(イ)7月11日から、ペトロブラス社は製油所でのガソリンAの1リットル当たりの価格を値上げ。ディーゼル油の価格はトラック運転手からの返還請求に対応するため、価格は固定されている。
(ウ)7月12日、グアルディア財務大臣は、「国家財政の危機は、2002年の政権移行の時よりも深刻。財政予算のプログラムを見直し、GDP成長率1.6%の成長を目指そう。」と発言。
(エ)7月26日,南アフリカで開催されていたBRICS首脳会合において, BRICS銀行の米州地域事務所を2019年までにサンパウロ及びブラジリアに開設することが発表された。
(イ)7月の前半は,米国の対中関税リストの追加公表など,米中貿易摩擦に対する不透明感から世界的に新興国通貨が売られる展開となり,1ドル=3.8から3.9レアル台で推移した。
(ウ)7月の後半は,トランプ米国大統領によるドル高牽制発言,ブラジル大統領選挙にて市場が改革派として待望する中道派のアルキミン・元サンパウロ州知事への中道派諸政党支持表明の拡大,米欧貿易交渉の一定合意等からレアルが買い戻され,一時的に1ドル=3.6レアル台までレアル高が進んだ。月末は,1ドル=3.7574レアルで取引を終えた(前月比3.1%のドル安・レアル高)。
(イ)7月の前半は,前々月に発生したトラック運転手ストライキによる株価下落からの緩やかな回復となり,13日に76594.35ポイントを記録した。
(ウ)7月の後半は,現政権の改革路線を引き継ぐアルキミン元サンパウロ州知事に対して中道派諸政党が支持を表明し,8月以降のテレビ討論会で同候補が長時間の放送枠を確保する見込みである点,国営電力会社エレトロブラス社の配電企業のオークションがあった点等を受け,一時80000ポイントを超える上昇を記録した。月末の株価指数は79220.43ポイントとなり,前月比+8.88%の上昇となった。
(1)経済情勢等(7月発表の経済指標)
(2)経済政策等
(3)中銀の金融政策等
(4)為替市場
(5)株式市場
(1)経済情勢等(7月発表の経済指標)
(ア)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に基づくGDP成長率予測に関し,7月27日時点では,2018年のGDP成長率見通しは1.50%で先週から横ばい,2019年のGDP成長率見通しは2.50%とされた。また,2018年のインフレ率見通しは4.11%で先週から横ばい,2019年のインフレ率見通しは4.10%とされた。(イ)5月の鉱工業生産指数は,同月発生のトラック運転手ストライキで物流が停止したことを受け,前年同月比▲6.6%となり,13か月振りのマイナス成長を記録したほか,前月比では▲10.9%となり,2008年12月以降で最大の下げ幅となった。
(ウ)5月の小売売上高は,前年同月比+2.7%となり14か月連続でプラスを記録した一方,前月比では▲0.6%となり,1か月振りのマイナス成長を記録した。
(エ)全国の失業率(4~6月の移動平均)は12.4%となり,前回の公表値(3~5月の移動平均)から0.3%下落して3か月連続で改善した。
(オ)5月の貿易収支は,輸出額は202.05億ドル(前年同月比+2.2%,前月比+5.6%)、輸入額は143.20億ドル(前年同月比+13.7%,前月比+7.8%)で,差引き58.85億ドル(前年同月比▲18.1%,前月比+0.3%)となり,40か月連続で貿易黒字を記録した。
(カ)6月の拡大消費者物価指数(IPCA)は,5月に発生したトラック運転手ストライキの影響で食料品価格が高騰したため,単月で1.26%となり,前月の0.40%から大幅に上昇した。また,過去12か月累計では4.39%となり,政府のインフレ目標(4.5%±1.5%)内の水準で推移している。
(2)経済政策等
(ア)7月5日、ブラジル政府は、税制優遇措置により電気自動車とハイブリッド車の生産と販売を促進する新産業政策「Rota2030」を発表。(イ)7月11日から、ペトロブラス社は製油所でのガソリンAの1リットル当たりの価格を値上げ。ディーゼル油の価格はトラック運転手からの返還請求に対応するため、価格は固定されている。
(ウ)7月12日、グアルディア財務大臣は、「国家財政の危機は、2002年の政権移行の時よりも深刻。財政予算のプログラムを見直し、GDP成長率1.6%の成長を目指そう。」と発言。
(エ)7月26日,南アフリカで開催されていたBRICS首脳会合において, BRICS銀行の米州地域事務所を2019年までにサンパウロ及びブラジリアに開設することが発表された。
(3)中銀の金融政策等
7月31日・8月1日,中銀の金融政策委員会(Copom)は,前回に引き続き政策金利(Selic)を年率6.50%に据え置くことを全会一致で決定。政策金利の据え置きの決定は、3会合連続となった。(4)為替市場
(ア)7月の為替レートは,前月に引き続き米中貿易摩擦への先行き不安からドル高レアル安で推移した後,トランプ米国大統領のドル高牽制発言,ブラジル大統領選挙での中道派有力候補への支持拡大からレアル高が進行する展開となった。(イ)7月の前半は,米国の対中関税リストの追加公表など,米中貿易摩擦に対する不透明感から世界的に新興国通貨が売られる展開となり,1ドル=3.8から3.9レアル台で推移した。
(ウ)7月の後半は,トランプ米国大統領によるドル高牽制発言,ブラジル大統領選挙にて市場が改革派として待望する中道派のアルキミン・元サンパウロ州知事への中道派諸政党支持表明の拡大,米欧貿易交渉の一定合意等からレアルが買い戻され,一時的に1ドル=3.6レアル台までレアル高が進んだ。月末は,1ドル=3.7574レアルで取引を終えた(前月比3.1%のドル安・レアル高)。
(5)株式市場
(ア)7月のブラジルの株式相場(Ibovespa)は,月の序盤の小幅な変動の後,為替相場と同様に,アルキミン元サンパウロ州知事への中道派諸政党支持表明から市場の期待が高まり,一貫して上昇し続けた。(イ)7月の前半は,前々月に発生したトラック運転手ストライキによる株価下落からの緩やかな回復となり,13日に76594.35ポイントを記録した。
(ウ)7月の後半は,現政権の改革路線を引き継ぐアルキミン元サンパウロ州知事に対して中道派諸政党が支持を表明し,8月以降のテレビ討論会で同候補が長時間の放送枠を確保する見込みである点,国営電力会社エレトロブラス社の配電企業のオークションがあった点等を受け,一時80000ポイントを超える上昇を記録した。月末の株価指数は79220.43ポイントとなり,前月比+8.88%の上昇となった。