最近の経済情勢 2017年8月号

2017/8/17
ブラジル・マクロ経済情勢
 

(1)経済情勢等(7月発表の経済指標)

(ア)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に基づくGDP成長率予測に関し,7月28日時点では,本年のGDP成長率は0.34%で3週連続で横ばい,明年のGDP成長率は2.00%とされた。また,本年のインフレ率見通しは3.40%で2週連続の上方修正,明年のインフレ率見通しは4.20%とされた。
 
(イ)6月の拡大消費者物価指数(IPCA)は単月で▲0.23%となり,前月の0.31%から大きく下落し,2006年6月以来となるデフレを記録した。また,過去12か月累計では3.00%となり,政府のインフレ目標(4.5%±1.5%)の下限まで下落している。
 
(ウ)5月の鉱工業生産指数は,前年同月比+4.0%で2か月ぶりにプラスに転じたほか,前月比でも+0.8%となり,2か月連続でプラスを記録した。
 
(エ)6月の貿易収支は,輸出額は197.88億ドル(前年同月比+18.2%,前月比▲0.0%),輸入額は125.93億ドル(前年同月比▲1.4%,前月比+3.8%)で,差引き71.95億ドル(前年同月比+81.3%,前月比▲6.1%)となり,28か月連続で貿易黒字を記録した。
 
(オ)5月の小売売上高は,前年同月比+2.4%で2か月連続でプラスを記録した一方,前月比では▲0.1%となり,2か月ぶりにマイナスに転じた。
 
(カ)全国の失業率(4~6月の移動平均)は13.0%となり,前回の公表値(3~5月の移動平均)から0.3%下落して3か月連続で改善した。
 

(2)経済政策等

(ア)7月11日,連邦議会上院本会議は,労働法改正案の採決を行い,賛成50票,反対26票の賛成多数で可決した。その後,7月13日にテメル大統領が裁可して成立し,120日後に施行されることとなった。
 
(イ)7月13日,連邦議会は,2018年度LDO(予算編成方針法:予算の基本的構造やプライマリーバランス等の財政上の目標を規定)案を可決した。2018年度の財政目標については,政府の経済チームの原案が維持される形で,連邦政府のプライマリーバランスは▲1,290億レアルの赤字になるとしている。
 
(ウ)7月18日,メイレレス財務大臣,オリヴェイラ企画大臣,ゴールドファイン中銀総裁及びカストロ伯経済社会開発銀行(BNDES)総裁は,従来のTJLP(BNDESの融資条件として使用される長期政策金利:現行7.0%)に代わって2018年1月1日から導入されるTLP(長期金利)について,金融政策の有効性を向上させるとともに,民間金融機関の長期貸出市場への参入を促すこと等を通じてブラジルの経済・社会の発展のために有益であるとした共同文書を発表した。
 
(エ)7月20日,財務省及び企画省は,ガソリン等の燃料に課されるPIS/Cofins(社会統合基金/社会保障融資納付金)の負担率を引き上げると発表した。これにより,2017年の残りの期間で104億レアルの増収が見込まれるとしている。
 
(オ)7月24日,企画省は,国家公務員の希望退職及び短時間勤務の制度を創設する提案を準備していると発表した。同省は,本提案は公共サービスの効率性向上と歳出合理化等を解決する措置であり,年間10億レアル前後の経済効果が期待できるとしている。
 

(3)中銀の金融政策等

 7月26日,中銀の金融政策委員会(Copom)は,政策金利(Selic)を1.00%引き下げて年率9.25%とする旨を全会一致で決定した。なお,政策金利の引下げの決定は7会合連続となった。
 

(4)為替市場

(ア)7月のドル・レアル為替相場は,内政動向の不確実性が低下したこと等を受けて,レアルはほぼ一貫して上昇する展開となった。
 
(イ)月の前半は,労働法改正案の議会通過やルーラ元大統領に対する連邦地裁の有罪判決に加えて,下院憲法司法委員会においてテメル大統領に対する起訴に肯定的な報告書が否決されたことを受けてリスクセンチメントが改善し,レアルは1ドル=3.1レアル台まで上昇した。
 
(ウ)月の後半は,トランプ米大統領に対する期待感の後退等から世界的なドル安の動きが強まり,引き続きレアルはやや強含みで推移した。月末は1ドル=3.1254レアルで取引を終えた(前月比5.5%のドル安・レアル高)。
 

(5)株式市場

(ア)7月の伯の株式相場(Ibovespa指数)は,月の前半に内政動向の不確実性が低下したことが好感されて上昇し,後半は安定的に推移する展開となった。
 
(イ)月の前半は,原油価格の下落を受けてやや軟調に推移する場面もあったものの,労働法改正案の成立期待やルーラ元大統領に対する有罪判決で政権が安定するとの期待から大きく値上がりし,株価指数は65,000ポイント台まで上昇した。
 
(ウ)月の後半は,議会が休会に入り材料視されるニュースが少なかったこともあり,株価指数は安定的に推移した。月末の株価指数は65,920.36ポイントとなり、前月比+4.8%の上昇となった。