最近の経済情勢 2020年7月号

2020/7/23

(1)経済情勢等(6月発表の経済指標)

(ア)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査(フォーカス調査)によれば,6月30日時点で,GDP成長率予測については,2020年は▲6.54%で前週より0.04%減少,2021年は3.50%で前週と変わらず。インフレ率については,2020年は1.63%で前週1.61%から0.02%減少。

(イ)4月の鉱工業生産指数(季節調整済み)は前月比▲18.8%,パンデミックに伴う社会的距離確保によって,2002年以降最も大きな減少となった。12ヶ月累積では▲2.9%となった。

(ウ)4月の小売売上高は,前月比▲16.8%,前年同月比は▲16.8%,12ヶ月累積で+0.7%となり,2ヶ月連続で減少した。

(エ)5月の拡大消費者物価指数(IPCA)は▲0.38%となり,前月(▲0.31%)比▲0.07%となった。

(オ)全国の失業率(3月~5月の移動平均)は12.9%となり,12~2月の移動平均値から1.3%上昇した(前年同期比+0.6%)。平均賃金は2,460レアル。失業者数(1,270万人)は前四半期比+3.0%と増加した。

(カ)5月の貿易収支は42.05億ドルの黒字で前月比▲30.0%,輸出額は179.96億ドル(前月比+0.7%),輸入額は137.91億ドル(同+15.7%)となった。なお,1~5月の貿易収支は130.54億ドルの黒字となり,前年同期を下回った。

 

(2)経済政策等

(ア)10日,伯政府は,小規模・零細企業支援プログラム(Pronampe)の運用を開始すると発表した。458万の小規模・零細企業向けに159億レアル相当の政府保証付き融資を,年間総収入の最大30%を上限として実施する。同プログラムは5月18日付け・法第13,999号により成立し,経済省,ブラジル銀行等が連携して実施する。

(イ)22日,伯中銀は,WhatsAppを利用した支払・決済サービスを停止するよう命じた。WhatsApp,クレジットカード会社Visa・Mastercard及び管理会社のCieloは提携して同アプリによる支払・決済サービスを開始することを発表し,ブラジル銀行,オンラインバンク(Nubank,Sicredi)がサービスに加入することが決定していた。しかし,少額決済で支払端末に問題が生じる可能性があった。

(ウ)22日,地理統計院(IBGE)は,社会的距離確保の導入により5月に1,570万人が休業し,就業者の約11.7%に相当する970万人の給与未払い,5月の平均収入は平常時(2,320レアル)と比べて18.2%減少し1,899レアルとなったと発表した。また,26日,IBGEは,6月上半期の失業保険申請件数が35万1,000件と,前月比23%減少した(前年同期比+35.0%)と明らかにした。

(エ)22日、Legal and General Investment Management、住友三井Trust Asset Managemetn等、世界の大手投資顧問・投資ファンド29社からノルウェー、スウェーデン、デンマーク、英、仏、蘭、日、米国にあるブラジル大使館に対して、「環境破壊の拡大に歯止めがかからなければ伯国債はハイリスク投資と評価される。伯に対してアマゾン環境問題に関する協議を求める」旨の書簡が送付された。
(注)伯政府は、7月に各省が協議して書簡への回答を発出、及び国際投資家及び民間企業との会合を行った。

(オ)25日,伯中銀は,ITサービスと技術の集中的利用により金融システムの競争力を強化するため,2018年に定めたFintech規則により30社のFintech企業をこれまでに承認したと明らかにした。30社のうち直接信用会社(SCD)は24社で,信用情報の分析・収集,クレジットカード及び暗号資産,後払い商品の発行,顧客取引に関する保険再販を提供する。また,個人間信用会社(SEP)は6社で,個人間(PtoP)で15,000レアルを上限とする金融取引が可能。

 

(3)中銀の金融政策等

(ア)6月16日及び17日に開催された金融政策委員会にて、政策金利を0.75%引き下げ、年率2.25%とすることを決定。

(イ)次回会合は8月4日及び5日に開催予定。

 

(4)為替市場

     6月の為替レートは、4.82~5.48レアル台で推移。月の前半は,経済活動再開に対する期待感から,3月10日以来約3ヶ月ぶりに4.8レアル台までレアルが上昇した。しかし,月の半ばに,中銀が追加利下げを実施したこと,新興国での感染拡大及び先進国における第二波懸念の浮上,更に伯の政治・財政リスクの高まりにより,再びレアルが下落した。一時,米国及び国内の新規感染者数の減少によりレアルが上昇する場面も見られたが,30日終値で5.48レアル/ドルとなった。

 

(5)株式市場

     6月のブラジルの株式相場(IBOVESPA)は、88,620~97,644ポイントで推移。月の前半は各国の経済活動再開及び政策対応による景気回復の期待感から上昇し,一時約3ヶ月ぶりに97,000ポイント台を回復した。その後,新興国での感染拡大及び先進国における第二波懸念の浮上,国内でボルソナーロ大統領の反民主主義デモへの参加による政治リスクの高まりを受けて,上値が抑えられ92,300ポイントまで下落した。月の後半は,伯中銀が市場の予想通り利下げを実施したことを材料に上昇したが,各国の感染拡大のニュースに左右されて,94,000ポイント~96,000ポイントの間で不安定な局面が続いた。