最近の経済情勢 2015年7月
平成27年9月15日
1.経済情勢等
(1)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に基づく経済成長予測に関し、6月29日時点では、本年の経済成長はマイナス1.49%と6週連続で下方修正、明年の経済成長は0.50%と3週連続で下方修正。(2)6月24日、ブラジル中銀は四半期インフレ報告書を発表し、本年の成長率をマイナス0.5%からマイナス1.1%に下方修正、本年のインフレ率見通しを7.9%から9.0%に上方修正。
2.経済政策等
(1)6月13日、ルセーフ大統領は、地元テレビ局の取材に対し、国内のインフレ率の上昇を深く憂慮しており、政府は物価抑制のためには何でも実行する構えであると表明し、現下の困難な経済状況を克服するためにも、できるだけ早い段階で財政調整計画を決議する必要があると述べた。(2)6月24日、連邦議会下院は、最低賃金の引上げ幅を算出する際の計算式を使用して年金向けの公的支出を引き上げる改正案を可決した。
(3)6月25日、通貨審議会は、2017年のインフレ目標を従来通り4.5%とするとともに、目標レンジを現行の±2.0%から±1.5%に縮小することを決定した(これにより、上限は6.5%から6.0%に変更される)。
(4)6月30日、連邦議会上院は、司法部門職員の給与を大幅に引き上げる法案を可決した。今後4年間で257億レアル(約1兆円)の財政負担増につながる内容であり、バルボーザ企画予算大臣は、ルセーフ大統領に拒否権を行使してもらい、どのように解決するか引き続き交渉したいとした。
3.中銀の金融政策等
(1)6月3日、通貨政策委員会(Copom)は、政策金利(Selic)を0.50%引上げ、13.75%とすることを決定した。(2)6月10日、中銀は市場介入に用いる通貨スワップのロールオーバー(繰り越し)ペースを弱めると発表した。
4.為替市場
(1)6月のドル・レアル為替相場は、1日に一時1ドル=3.2134レアルの月内最安値を記録した後、3日に通貨政策委員会が政策金利を引上げる決定を行ったこと等を受けて、月の半ばにかけて緩やかにレアル高が進行した。(2)その後、5月の失業率が0.3%悪化する等の低調な経済指標を嫌気したレアル売りが入った後、1ドル=3.10レアルを挟んで小幅な値動きが続き、月末は1ドル=3.1019レアル(買値)で取引を終えた(前月末比2.40%のドル安・レアル高)。
5.株式市場
(1)6月のブラジルの株式相場(Bovespa指数)は、53,000ポイントを挟んで小幅な値動きとなった。月の当初は、鉄鉱石の価格上昇などにより鉄鋼関連株が買われるとともに、ペトロブラスが海外市場で資金調達を実施したことが評価され、株価は上昇した。しかし、連邦議会で財政緊縮案の採決が延期されたこと等を嫌気して下落した。(2)月の半ば以降は、米国の利上げ時期が予想より遅くなるとの見方が強まり、株価の上昇要因になる一方、ペトロブラスの一大汚職事件による関係者の逮捕をはじめとする政局の混乱や低調な経済指標を嫌気し、株価を押し下げる要因となった。
(3)月末にかけては、通貨審議会が2017年のインフレ目標レンジを狭めたことが好感され、株価は上昇する場面も見られたが、ギリシャ情勢が悪化したことや、ペトロブラスが今後の予算を大幅に削減するとの発表を嫌気して下落した。月末の株価は53,081ポイントとなり、前月末比0.61%のプラスと小幅な動きにとどまった。