最近の経済情勢 2020年6月号

令和2年6月25日

(1)経済情勢等

(ア)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査(フォーカス調査)によれば,5月29日時点で,GDP成長率予測は,2020年は▲6.25%で先週より0.36%減少、2021年は3.50%で先週と変わらず。インフレ率予測は,2020年は1.55%で先週1.57%から0.02%減少。

(イ)4月の鉱工業生産指数(季節調整済み)は,前月比▲18.8%、前年同月比▲27.2%,12ヶ月累積では▲2.9%を記録した。

(ウ)4月の小売売上高は,前月比▲16.8%で先月より14.3%減,前年同月比▲16.8%と下落した。

(エ)5月の拡大消費者物価指数(IPCA)は▲0.38%。

(オ)全国の失業率(2月~4月の移動平均)は12.6%となり,前期(11~1月)から1.4%上昇した。平均賃金は2,425レアル。失業者数は1,280万人で,前期比7.5%増加した。

(カ)5月の貿易収支は45億4,800万ドルの黒字(前年同月比▲11.1%)にとどまり,5月の貿易収支としては1995年以降最低の黒字を記録した。

(キ)4月の財政収支は▲929億200万レアルで,過去最大の赤字を計上した2015年12月の729億200万レアルを上回る赤字を計上した。

(ク)5月の自動車販売台数は6万2千台(前月比+11.3%、前年同月比▲74.7%)であり,5月としては過去28年間で最少の販売台数となった。

 

(2)経済政策等

(ア)5月上旬,伯中銀は,個人・中小企業に対する緊急給付支援策による現金不足を防ぐため,造幣局(Casa de Moeda)に対して臨時の紙幣増刷を指示した。

(イ)20日,FGVブラジル経済研究所(IBRE)は,マクロ経済報告書を公表し,2020年の伯GDP成長率予測を前回(▲3.4%)から2.0%引き下げ,▲5.4%に下方修正した。

(ウ)23日,連邦歳入庁は,4月のインフレ率を差し引いた歳入総額が前年同月比▲28.9%減少して1,011億5,400万レアルとなり,2006年以降最少となったと発表した。

(エ)27日,経済省は,マルコス・トロイジョ特別次官が新開発銀行(NDB)総裁に選任されたと発表。

(オ)29日,経済省は,2020年第1四半期のGDP成長率を▲1.5%(前年同期比)と発表した。前回予測の▲1.3%を下回り,農業部門を除く全ての産業部門でマイナス成長となった。

 

(3)中銀の金融政策等

     5月5日及び6日に開催された金融政策委員会にて,政策金利を0.75%引き下げ,年率3.00%とすることを決定。政策金利の引き下げは7会合連続。

 

(4)為替市場

     5月の為替レートは,5.34~5.89レアル台で推移。月の前半は,伯中銀の利下げ決定,米消費者物価指数の下落及び世界経済の先行き懸念によりリスク回避のドル買いが優勢となり,5.89レアル/ドルへとレアル安が加速。月の後半は,米バイオ医薬の新型コロナウイルスワクチン開発に関する報道や各国の経済活動の再開による需給改善期待から,レアルが買われて5.34レアル/ドルまで上昇した。

 

(5)株式市場

     5月のブラジルの株式相場(IBOVESPA)は,77,557~88,620ポイントで推移。月の前半は,米中対立への警戒感や米国失業保険申請件数の低調な結果を受けて,80,000ポイントを挟んで小幅な値動きであった。月の後半,欧州での新型コロナウイルスの感染者拡大が減速し,各国で経済活動再開の動きが現れたことを受けて。株価は3月以降約3カ月ぶりの水準である88,000ポイント台後半まで上昇した。