最近の経済情勢 2017年6月号

2017/7/12
ブラジル・マクロ経済情勢

(1)経済情勢等(5月発表の経済指標)
(2)経済政策等
(3)中銀の金融政策等
(4)為替市場
(5)株式市場
 
 

1.経済情勢等(5月発表の経済指標)

(1)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に基づくGDP成長率予測に関し、5月26日時点では、本年のGDP成長率は0.49%で先週から下方修正、明年のGDP成長率は2.48%とされた。また、本年のインフレ率見通しは3.95%で先週から上方修正、明年のインフレ率見通しは4.40%とされた。

(2)4月の拡大消費者物価指数(IPCA)は単月で0.14%となり、前月の0.25%から下落した。また、過去12か月累計では4.08%となり、政府のインフレ目標(4.5%±1.5%)の中央値を下回る水準に入った。

(3)3月の鉱工業生産指数は、前年同月比+1.1%で2か月ぶりにプラスに転じた一方、前月比では▲1.8%となり、2か月ぶりにマイナスに転じた。

(4)4月の貿易収支は、輸出額は176.86億ドル(前年同月比+15.1%、前月比▲11.9%)、輸入額は107.17億ドル(前年同月比+2.0%、前月比▲17.2%)で、差引き69.69億ドル(前年同月比+43.3%、前月比▲2.3%)となり、26か月連続の貿易黒字を記録した。

(5)3月の小売売上高は、前年同月比▲4.0%で24か月連続のマイナス、前月比でも▲1.9%となり、2か月連続でマイナスを記録した。

(6)全国の失業率(2~4月の移動平均)は13.6%となり、前回の公表値(1~3月の移動平均)から0.1%下落した。なお、失業率の下落を記録したのは、2014年9~11月以来となった。

 

2.経済政策等

(1)5月3日、連邦議会下院特別委員会は、年金制度に関する憲法改正案の採決を行い、賛成23票、反対14票の賛成多数で可決した。

(2)5月18日、財務省国庫局は、最新の政治情勢による影響を引き続き注視するとともに、市場の完全な機能と十分な流動性を確保するために必要な措置を講ずるとの声明を発表した。

(3)5月26日、大統領府は、マリア・シルヴィア・バストス・マルケス伯経済社会開発銀行(BNDES)総裁が辞任し、後任としてパウロ・ラベッロ・カストロ(Paulo Rabello Castro)伯地理統計院(IBGE)総裁を新総裁に任命する旨発表した。

 

3.中銀の金融政策等

(1)5月19日、中銀は、大幅なレアル安を受けて、大規模な通貨スワップの入札(先物市場でのドル売り・レアル買い)を実施した。

(2)5月31日、中銀の金融政策委員会(Copom)は、政策金利(Selic)を1.00%引き下げて10.25%とする旨を全会一致で決定した。なお、政策金利の引下げの決定は6会合連続となった。
 
 

4.為替市場

(1)5月のドル・レアル為替相場は、前半は安定的に推移したものの、後半は政情不安により一時的に大きくレアルが売られるなど、内政動向に対して過敏に反応する展開となった。

(2)月の前半は、年金制度改革案の議会審議に楽観的な見通しが広がったこと等を受けて、1ドル=3.0~3.1レアル台で推移した。

(3)月の後半に入り、テメル大統領による元下院議長の買収工作容認疑惑が報じられたことを受けて、レアルは一時1ドル=3.4レアル台まで急落した。その後は、中銀による事実上のドル売り・レアル買いの介入や財務省国庫局による流動性供給策の発表等を受けて市場の混乱は比較的短期間のうちに沈静化し、1ドル=3.2レアル台で方向感のないまま推移した。月末は1ドル=3.2270レアルで取引を終えた(前月比1.6%のドル高・レアル安)。
 
 

5.株式市場

(1)5月の伯の株式相場(Ibovespa指数)は、前半は年金制度改革の動向等が好感されて続伸したものの、後半は政情不安により大幅に下落するなど乱高下する展開となった。

(2)月の前半は、一部企業の好決算や年金制度改革案の議会審議に楽観的な見通しが広がったことを受けて、株価指数は一時68,000ポイント台まで続伸した。

(3)月の後半に入り、テメル大統領による元下院議長の買収工作容認疑惑が報じられたことを受けて、株価指数は一時61,000ポイント台まで急落した。その後は、政情不安や格下げへの懸念は継続しつつも買戻しの動きも入り、株価指数はボラティリティの高い状況となった。月末の株価指数は62,711.47ポイントとなり、前月比▲4.1%の下落となった。