最近の経済情勢 2020年4月号
1.経済情勢報告(3月発表の経済指標)
(1)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に関して、3月30日時点で、GDP成長率予測については、2020年は▲0.48%で先週より1.96%減少、2021年は2.50%で先週と変わらず。インフレ率については、2020年は3.19%で先週3.20%から0.01%減少、2021年は2.94%で先週より0.1%低下。
(2)2月の鉱工業生産指数(季節調整済み)は、市場予想を上回り,前月比+0.5%(先月より0.7%減少),前年比▲0.4%(先月より0.5%増加)を記録した。
(3)1月の小売売上高は、前月比▲1.0%、前年同月比+1.3%と2ヶ月連続のマイナスを記録した。
(4)2月の拡大消費者物価指数(IPCA)は単月で+0.25%となり、前月比+0.04%と上昇した。12ヶ月累計では4.01%となり,前月比▲0.18%で下落した。
(5)全国の失業率(12月~2月の移動平均)は11.6%となり、11~1月の移動平均値から0.4%上昇した。
(6)3月の貿易収支は、47億1,300万レアルの黒字となり,前月比52.3%,前年同月比9.7%と増加した。新型コロナウイルスの影響で先行きの落ち込みが懸念される。
(7)3月の財政収支は▲209億100万レアル(前年同月比▲20億レアル)となった。本年度の収支目標(▲1189億レアル)は,政府の非常事態宣言(20日)により目標達成が免除された。
2.経済政策等
(1)伯中銀は,16日,新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済への悪影響を軽減するために、560億レアルの流動性対策を発表。また,23日,金融システムの防御のため1兆2,160億レアルを拠出する事を発表した。
(2)伯政府は,16日,新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響を緩和するため,約1500億レアル(約300億ドル)の景気支援策を発表。企業の雇用維持支援が594億レアル,ウイルス対策費用が45億レアル等。ゲデス経済相は,31日,新型コロナウイルス対策費用が7,500億レアルに達していると発表した。
(3)伯政府は,23日,新型コロナウイルスに対抗するための州・市向け協力パッケージを発表。内容は,(1)保健分野への資金振替,(2)州の基金(FPE)及び市の基金(FPM)への拠出,(3)社会的支援,(4)連邦政府に対する州の債務の停止,(5)(州及び市の債務に関する公的)金融機関との再交渉など総額882億レアル。
(4)BNDES(経済開発銀行)は,23日,新型コロナウイルスに対応した支援策として,PIS/公務員厚生年金からFGTSへの資金移転,直接融資企業への6ヶ月の元利払い停止など総額550億レアルの措置を発表した。更に,29日,追加の支援策として,保健部門及び零細企業に対する資金420億レアルを発表した。
(5)30日,新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた低所得者への救済措置として,非正規労働者に対する現金給付(3ヶ月間,月額600レアル)を認める法案が議会で成立した。
3.中銀の金融政策等
(1)3月17日及び18日に開催された金融政策委員会にて、政策金利を0.5%引き下げ、年率3.75%とすることを決定。政策金利の引き下げは6会合連続。
(2)次回会合は5月5日及び6日に開催予定。
4.為替市場
3月の為替レートは、4.48~5.26レアル台で推移。政策金利の引き下げ,新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界経済成長の減速懸念を要因として5.2560レアルと史上最安値までレアル安が進行した。米FRBと伯中銀の間のドルスワップ協定によって,一時は5.00レアルを切る場面があったが,先行き不透明感,ドル需要の高まりから,レアル安の展開が継続し,終値は5.2052レアル/ドル。
5.株式市場
3月のブラジルの株式相場(IBOVESPA)は、62,818~108,566ポイントで推移。新型コロナウイルス感染拡大に伴う、リスク資産からの資金逃避が鮮明となり、ボベスパ指数は一時61,690ポイントまで下落。各国中銀の流動性供給の発表により下落は止まったものの、依然として先行き不透明感が相場を引き下げて,終値は73,086ポイント。