最近の経済情勢 2018年4月号

平成30年4月6日
ブラジル・マクロ経済情勢

(1)経済情勢等(3月発表の経済指標)
(2)経済政策等
(3)中銀の金融政策等
(4)為替市場
(5)株式市場

 

(1)経済情勢等(3月発表の経済指標)

(ア)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に基づくGDP成長率予測に関し,3月23日時点では,2018年のGDP成長率は2.89%で先週から上方修正,2019年のGDP成長率は3.00%とされた。また,2018年のインフレ率見通しは3.57%で8週連続の下方修正,2019年のインフレ率見通しは4.10%とされた。

(イ)1月の鉱工業生産指数は,前年同月比+5.7%で9か月連続でプラスを記録した一方,前月比では▲2.4%となり,5か月ぶりにマイナスに転じた。

(ウ)1月の小売売上高は,前年同月比+3.2%で10か月連続でプラスを記録したほか,前月比では+0.9%となり,2か月ぶりにプラスに転じた。

(エ)全国の失業率(12~2月の移動平均)は12.6%となり,前回の公表値(11~1月の移動平均)から0.4%上昇して2か月連続で悪化した。

(オ)2月の貿易収支は,輸出額は173.15億ドル(前年同月比+11.9%,前月比+2.1%),輸入額は124.08億ドル(前年同月比+13.7%,前月比▲12.6%)で,差引き49.07億ドル(前年同月比+7.7%,前月比+77.5%)となり,36か月連続で貿易黒字を記録した。

(カ)2月の拡大消費者物価指数(IPCA)は単月で0.32%となり,前月の0.29%からほぼ横ばいで推移した。また,過去12か月累計では2.84%となり,政府のインフレ目標(4.5%±1.5%)の下限値を下回る水準で推移している。

 

(2)経済政策等

(ア)3月14日,テメル大統領は,サンパウロで開催された世界経済フォーラム・ラテンアメリカ会合に出席し,低下を続けている金利とインフレは政府による改革の成果であると発言した。

(イ)3月19日,政府は,アバンサール計画(国費等による公共事業計画)に31のプロジェクトを追加し,コンセッションを通じて100億レアルを超える民間投資を喚起することが期待されると発表した。

(ウ)3月20日,テメル大統領は,ブラジリアにてサントス・コロンビア大統領と会談し,両国はメルコスール・太平洋同盟間の貿易協定の締結を推進していく旨表明した。

(エ)3月21日,メイレレス財務大臣は,歳出の上限設定や労働法制の近代化といった現政府の施策により,今後数年間にわたり平均して3.5~4%程度の成長が見込めると発言した。

(オ)3月26日,テメル大統領は,Uber等のアプリケーションを利用した配車サービスを合法化する法案を裁可した。今後は,各市及び連邦区政府が本サービスの規制・監督を行うこととなる。

 

(3)中銀の金融政策等

     3月21日,中銀の金融政策委員会(Copom)は,政策金利(Selic)を0.25%引き下げて年率6.50%とする旨を全会一致で決定した。なお,政策金利の引下げの決定は12会合連続となった。

 

(4)為替市場

(ア)3月のドル・レアル為替相場は,世界的なリスクオフの動きから,徐々にドル高・レアル安が進行する展開となった。

(イ)月の前半は,米国の政権運営や外交・通商政策をめぐる不透明感から神経質な展開が続き,1ドル=3.2レアル台の狭いレンジでの小動きとなった。

(ウ)月の後半は,中銀が利下げを行うとともに今後の追加緩和に前向きな姿勢を見せたことが材料視され,1ドル=3.3レアル台までレアル売りが進行した。その後は小動きが続き,月末は1ドル=3.3063レアルで取引を終えた(前月比1.8%のドル高・レアル安)。

 

(5)株式市場

(ア)3月のブラジルの株式相場(Ibovespa指数)は,狭いレンジで安定的に推移する展開となった。

(イ)月の前半は,米国の政権運営や外交・通商政策をめぐる不透明感から神経質な展開が続き,株価指数は85,000ポイント前後の狭いレンジで推移した。

(ウ)月の後半は,資源・鉄鋼関連株の軟調から株価指数が下落する場面もあったものの,総じて小動きとなった。月末の株価指数は85,365.56ポイントとなり,前月比+0.0%の横ばいとなった。