最近の経済情勢 2017年3月号
平成29年3月9日
(1)経済情勢等(2月発表の経済指標)
(ア)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に基づくGDP成長率予測に関し、2月24日時点では、本年のGDP成長率は0.48%で2週連続の横ばい、明年のGDP成長率は2.37%とされた。また、本年のインフレ率見通しは4.36%で8週連続の下方修正、明年のインフレ率見通しは4.50%とされた。(イ)1月の拡大消費者物価指数(IPCA)は単月で0.38%となり、前月の0.30%からやや上昇したものの、前年同月の1.27%は大きく下回る水準となった。また、過去12か月累計で5.35%となり、政府のインフレ目標(4.5%±1.5%)の範囲内で推移している。
(ウ)12月の鉱工業生産指数は、前年同月比▲0.1%で34か月連続のマイナス、前月比では+2.3%となり、2か月連続でプラスを記録した。
(エ)1月の貿易収支は、輸出額は149.11億ドル(前年同月比+32.7%、前月比▲6.5%)、輸入額は121.87億ドル(前年同月比+18.1%、前月比+5.7%)で、差引き27.25億ドル(前年同月比+197.8%、前月比▲38.3%)で23か月連続の貿易黒字を記録した。
(オ)12月の小売売上高は、前年同月比▲4.9%で21か月連続のマイナス、前月比でも▲2.1%となり、2か月ぶりにマイナスに転じた。
(カ)全国の失業率(11~1月の移動平均)は12.6%となり、前回の公表値(10~12月の移動平均)から0.6%上昇して3か月連続で悪化し、2012年に統計を開始して以来の最高値を更新した。
(2)経済政策等
(ア)2月2日、テメル大統領は、フィナンシャル・タイムズ紙のインタビューにおいて、政府によって実施されている経済活性化の措置と改革は既に動いており、経済成長を回復する軌道に導きつつあると発言した。また、年金制度改革については、早ければ2017年第2四半期にも議会で可決されると発言した。(イ)2月6日、テメル大統領は、政府の経済対策により、本年下半期から成長は「確かな方向」に向かうとともに、失業も減少しはじめると発言した。
(ウ)2月21日、テメル大統領は、年金や社会扶助システムの崩壊を避けるための社会保障制度改革の必要性とともに、本件について不正確な情報が広まるのを避けるための議論の重要性を強調する発言を行った。
(3)中銀の金融政策等
2月22日、中銀の金融政策委員会(Copom)は、政策金利(Selic)を0.75%引き下げて12.25%とする旨を全会一致で決定した。なお、政策金利の引下げの決定は4会合連続となった。(4)為替市場
(ア)2月のドル・レアル為替相場は、1ドル=3.0~3.1レアル台の比較的狭いレンジで推移する展開となった。(イ)月の前半は、内政面・外部環境ともに材料が乏しかったこともあり、1ドル=3.1レアル台の狭いレンジでの値動きとなったが、14日に中銀が事実上のドル売り・レアル買いの介入を行ったこと等を受けて、2015年6月以来の水準となる1ドル=3.0レアル台までレアル高が進んだ。
(ウ)月の後半は、材料が乏しい状況が継続する中で、22日に中銀が0.75%の利下げに踏み切ったこともレアル売りの要因とはならず、1ドル=3.0レアル台の狭いレンジで推移した。月末は1ドル=3.1104レアルで取引を終えた(前月比1.2%のドル安・レアル高)。
(5)株式市場
(ア)2月の伯の株式相場(Ibovespa指数)は、前月に引き続き上昇する値動きとなった。(イ)月の前半は、鉄鉱石価格の上昇が好感されたことに加え、1月の拡大消費者物価指数(IPCA)が予想を下回ったことでインフレ懸念が後退し、株価は上昇基調で推移した。
(ウ)月の後半は、好決算を背景に銀行株が上昇したほか、鉄鋼大手バーレ社の投資持ち株会社の解散が透明性の向上に寄与するとの見方から買われたことで、株価は一時69,000ポイント台まで上昇した。その後は、資源価格の下落でやや値を戻し、月末の株価は66,662.10ポイントとなり、前月比+3.1%の上昇となった。