最近の経済情勢 2016年3月号

平成28年4月13日

(1)経済情勢等(2月発表の経済指標)

(ア) 中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に基づく経済成長予測に関し,2月26日時点では,本年の経済成長率は▲3.45%で6週連続の下方修正,明年の経済成長率は0.50%で先週から横ばいであった。また,本年のインフレ率見通しは7.57%,明年のインフレ率見通しは6.00%とされた。

(イ) 1月の拡大消費者物価指数(IPCA)は単月で1.27%となり,前月の0.96%に引き続いて高い上昇率を記録した。特に,食料・飲料費が2.28%増,交通費が1.77%増となったことが寄与した。

(ウ) 客年12月の鉱工業生産指数は,前年同月比▲11.9%で22か月連続のマイナス,前月比でも▲0.7%となった。この結果,2015年通年の鉱工業生産指数は前年比▲8.3%となった。

(エ) 1月の貿易収支は,輸出額は112.5億ドル(前年同月比▲33.4%,前月比▲33.0%),輸入額は103.2億ドル(前年同月比▲38.8%,前月比▲2.1%)で,差し引き9.2億ドルとなり11か月連続で貿易黒字を記録した。

(オ) 客年12月の小売売上高は,前年同月比▲7.1%で9か月連続のマイナス,前月比でも▲2.7%と3か月ぶりにマイナスを記録した。この結果,2015年通年の小売売上高は前年比▲4.3%となった。

(カ) 国内主要6都市における1月の失業率は7.6%となり,前月から0.7%悪化した。
 

(2)経済政策等

(ア) 2月17日,格付会社S&P社は,ブラジルの外貨建国債の格付を"BB+"から"BB"に1段階引下げるとともに,格付見通しを「ネガティブ」とした。

(イ) 2月19日,伯企画予算省及び財務省は,2016年度予算執行計画,プライマリーバランス目標の変更,歳出上限の設置等について発表した。2016年の政府見通しは,GDP成長率は▲2.9%,インフレ率は7.1%とされた。また,2016年度のプライマリーバランス目標は,GDP比0.5%の黒字から同▲0.86%の赤字へと大幅に引き下げられた。さらに,歳出の上限値を導入するとともに,歳出が上限を超過することが見込まれる場合は,次年度の予算を歳出の超過額に応じて3段階で自動的に削減する措置を導入するとされた。

(ウ) 2月24日,格付会社Moody's社は,ブラジルの外貨建国債の格付を"Baa3"から"Ba2"に2段階引下げ,投資不適格水準とするとともに,格付見通しを「ネガティブ」とした。これにより,格付会社大手3社(S&P社,Moody's社及びFitch社)全てがブラジルを投資不適格と位置づけることとなった。
 

(3)中銀の金融政策等

     2月は政策金利(Selic)を決定する中銀の通貨政策委員会(Copom)は開催されていない。なお,3月1・2日に開催されたCopomは,政策金利(Selic)を14.25%に据え置く旨賛成多数で決定した。
 

(4)為替市場

(ア) 2月のドル・レアル為替相場は,1ドル=3.9レアル台を挟んで小幅な動きとなった。

(イ) 月の前半は,米国の弱い経済指標を受けて利上げ観測が後退しドル安の流れとなり,一時1ドル=3.8レアル台までレアルが上昇する場面もあった。その後はカーニバル休暇を挟んで再びグローバルなリスクオフの動きが強まり,1ドル=4レアル前後までレアル安が進行した。

(ウ) 月の後半に入り,原油価格の反転等を受けてグローバルなリスクオフの動きが一服し,1ドル=3.9レアル台で方向感のない展開が続いた。その後,月末にかけて米国の強い経済指標等を受けてドル買いの動きが強まり,月末は1ドル=4.0159レアルで取引を終えた(前月比▲0.4%のレアル安・ドル高)。
 

(5)株式市場

(ア) 2月のブラジルの株式相場(Ibovespa指数)は,月の前半はほぼ横ばいで推移した後,月末にかけて上昇する展開となった。

(イ) 月の前半は,原油価格の乱高下や鉄鉱石価格の大幅な上昇等を受けて,40,000ポイントを挟んでやや値動きの大きい展開となった。

(ウ) 月の後半は,資源価格の反騰等を受けて世界的な株高となり,22日には43,000ポイントを回復した。月末の株価は42,794ポイントとなり,前月比5.9%の上昇となった。