最近の経済情勢 2020年2月号

令和2年2月14日

(1)経済情勢等(1月発表の経済指標)

(ア)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に関して,1月31日付公表資料によると,GDP成長率予測については,2020年が2.30%で先週から0.01%下落,2021年は2.50%で先週から変わらず。インフレ率予測については,2020年は3.40%で先週から0.07%下落,2021年は3.75%で先週から変わらず。

(イ)12 月の鉱工業生産指数(季節調整済み)は,前月比▲0.7%,前年同月比▲1.2%となった(12ヶ月累積は▲1.1%)。第4四半期は▲0.6%,下半期は▲0.9%といずれも前年比で減少した。

(ウ)12月の小売売上高は,市場予想を下回って前月比▲0.1%,前年同月比+2.6%を記録した。

(エ)1月の拡大消費者物価指数(IPCA)は単月で+0.21%となり,前月比▲0.14%,前年同月比▲0.94%と下落した。食品及び飲料品の指数が0.39%と12月の3.38%から大きく下落したことを主因に,12ヶ月累計でも4.19%と前月比▲0.12%。

(オ)全国の失業率(10~12月の移動平均)は11.0%となり,9~11月の移動平均値から0.2%低下した。雇用者数(3ヶ月平均)は9,455万人と緩やかな伸びが継続している。2019年の平均失業率は11.9%と前年比▲0.4%,2年連続で減少した。

(カ)1月の貿易収支は,17億4,500億レアルの赤字を記録し,2015年以降ではじめて,1月の貿易収支が赤字を記録。大豆が33.2%,トウモロコシが41%,コーヒーが12.3%それぞれ輸出減となった。

(キ)経済省は,2019年のブラジルの貿易額について,輸出が前年比▲7.5%の2,240億ドル,輸入は▲3.3%の1,773億ドル,貿易総額は▲5.7%の4,014億ドルとなり,貿易収支は前年比▲19.6%の467億ドルの黒字額となったと発表。世界経済減速と米中貿易摩擦の影響で輸出入額,貿易収支がいずれも前年比で減少。

 

(2)中銀の金融政策等

     金融政策委員会が2月4日及び5日に開催され,政策金利(Selic)を0.25%引き下げ,年率4.25%とすることを決定。政策金利の引き下げは5会合連続で,政策金利は過去最低の水準となった。次回会合は,3月17日及び18日。

 

(3)為替市場

     1月の為替レートは,1ドル=4.02~4.28レアル台で推移。月の前半は,米国がイラン司令官を殺害したことに伴い,地政学的リスクが高まり,年始よりレアル安が進行。月の後半は,中国で発生した新型コロナウイルス拡散に伴う経済成長への影響が懸念され,史上最安値の4.28レアルまでレアル安が進行した。

 

(4)株式市場

     1月のブラジルの株式相場(Ibovespa)は,108,900~117,200ポイントで推移。米国・イランで発生した中東リスクや,新型コロナウイルス感染に伴う世界経済成長への懸念とレアル安進行を要因に,一時113,000ポイントを割る水準まで下落した。