最近の経済情勢 2020年1月号

令和2年1月16日

1 経済情勢等(12月発表の経済指標)

(1)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に関して,12月27日付公表資料によると,GDP成長率予測については,2019年が1.17%で先週から0.01%上昇(前月から0.18%の上昇),2020年は2.30%で先週から0.02%上昇。インフレ率予測については,2019年は4.04%で先週から0.06%上昇,2020年は3.61%で先週から0.01%上昇。

(2)11 月の鉱工業生産指数(季節調整済み)は,前月比▲1.2%,前年同月比▲1.1%となった(12ヶ月累積は▲1.3%)。年末で自動車、機会部品生産の指数が落ち込んだ(▲4.4%)ことによる季節要因。

(3)10月の小売売上高は,前月比+0.1%,前年同月比+4.2%を記録した(12ヶ月累積は1.8%)。

(4)12月の拡大消費者物価指数(IPCA)は単月で+1.15%となり,前月の+0.51%から0.65%上昇した。12ヶ月の累計では4.31%となり10月発表の2.54%から上昇した。12月としては2002年以来最高の数値,12ヶ月累計では2018年の3.75%を0.6%近く上回った。対象製品の中では食料・飲料品,輸送,個人経費が12月で最も高い変動を示した。

(5)全国の失業率(9~11月の移動平均)は11.2%となり,8~10月の移動平均値(11.6%)から0.4%低下,前年同期比では0.3%低下した。

(6)11月の貿易収支は,輸出額は195.76億ドル(前年同月比▲10.56%,前月比▲3.52%),輸入額は170.29億ドル(前年同月比+5.73%,前月比+3.23%)で,差引き25.47億ドル(前年同月比▲56.02%,前月比▲32.85%)となった。12月単月の貿易収支は55.99億ドルと前年同期比▲12.9%と減少したものの、前月比では米中貿易合意の影響で+63.4%と増加した。

(7)経済省は、2019年のブラジルの貿易額について、輸出が前年比▲7.5%の2,240億ドル、輸入は▲3.3%の1,773億ドル、貿易総額は▲5.7%の4,014億ドルとなり、貿易収支は前年比▲19.6%の467億ドルの黒字額となったと発表。世界経済減速と米中貿易摩擦の影響で輸出入額、貿易収支がいずれも前年比で減少した。

(8)IBGE(地理統計院)は2019年第3四半期の実質GDP成長率を1.2%(前年同期比)と発表した。建設業・鉱業を中心とする工業(+1.0%)、情報サービス業(+4.2%)が伸びを示し、7月のFGTS預金引出し施策による効果で個人消費が伸びた(+1.9%)ことが成長に寄与した。

(9)中銀は四半期インフレレポート(RTI)を発表、2019年のGDP成長率は、民間投資を要因として前回予想の0.9%から1.2%へと上方修正。2020年のブラジルGDP成長率は、民間部門の住宅投資、固定資本形成(FBCF)の増加を要因として、前回予想の+1.8%から+2.2%に上方修正された。

 

2 中銀の金融政策等

     金融政策委員会が12月10日及び11日に開催され,政策金利(Selic)を0.50%引き下げ,年率4.50%とすることを決定し,政策金利の引き下げは4会合連続で,政策金利は過去最低の水準となった。次回会合は,2020年2月4日及び5日。

 

3 為替市場

(1)12月の為替レートは,1ドル=4.02~4.21レアル台で推移。

(2)月の前半は,11月26日に市場最安値となる4.27レアル台を付けた後に中銀が為替介入を実施したことや,3日に公表された第3四半期のGDP成長率が予想を上回ったことを材料に4.05レアル台へと上昇した。4日にトランプ米大統領がブラジルの鉄鋼・アルミニウム製品に追加課税を課すと発表して,一時レアル安に傾いたが,その後に追加関税は実施しないとの報道があり,レアルが続伸した。

(3)月の後半は,米中関税合意に対する期待感から4.05~4.10レアルで取引され,月末には1ヶ月半ぶりの高水準となる4.02レアル/ドルとなった。

 

4 株式市場

     12月のブラジルの株式相場(Ibovespa)は,108,900~117,200ポイントで推移。月の前半に発表された,第3四半期GDP成長率や10日に中銀が市場予想通り利下げを実施したことを受けて上昇した。月の後半は史上最高値である117,200ポイントを更新し,終値では115,645ポイントとなった。