最近の経済情勢 2018年1月号
平成30年1月31日
ブラジル・マクロ経済情勢
(1)経済情勢等(12月発表の経済指標)
(2)経済政策等
(3)中銀の金融政策等
(4)為替市場
(5)株式市場
(イ)11月の拡大消費者物価指数(IPCA)は単月で0.28%となり,前月の0.42%から下落した。また,過去12か月累計では2.80%となり,政府のインフレ目標(4.5%±1.5%)の下限値を下回る水準で推移している。
(ウ)10月の鉱工業生産指数は,前年同月比+5.3%で6か月連続でプラスを記録したほか,前月比では+0.2%となり,2か月連続でプラスを記録した。
(エ)11月の貿易収支は,輸出額は166.83億ドル(前年同月比+2.9%,前月比▲11.6%),輸入額は131.43億ドル(前年同月比+14.7%,前月比▲3.9%)で,差引き35.41億ドル(前年同月比▲25.5%,前月比▲31.8%)となり,33か月連続で貿易黒字を記録した。
(オ)10月の小売売上高は,前年同月比+2.5%で7か月連続でプラスを記録した一方,前月比では▲0.9%となり,2か月ぶりにマイナスに転じた。
(カ)全国の失業率(9~11月の移動平均)は12.0%となり,前回の公表値(8~10月の移動平均)から0.2%下落して8か月連続で改善した。
(イ)12月13日,連邦議会は,2018年度の連邦政府予算案(LOA:年間予算法)を承認した。本予算案では,2018年度のGDP成長率は2.5%,最低賃金は965レアルとされており,連邦政府のプライマリーバランスは▲1,570億レアルの赤字を見込んでいる。
(ウ)12月14日,ホドリゴ・マイア連邦下院議長は,焦点となっている年金制度改革に関する憲法改正案について,下院本会議における採決日程を2018年2月19日に延期する旨発表した。
(エ)12月14日,メイレレス財務大臣は,GDP成長率の政府見通しについて,2017年は0.5%から1.1%,2018年は2.0%から3.0%にそれぞれ上方修正すると発表した。
(オ)12月21日,国家通貨審議会(CMN)は通常会合を開催し,2018年第1四半期のTJLP(政府系金融機関である伯経済社会開発銀行(BNDES)の融資条件として使用される長期政策金利)を0.25%引き下げて年率6.75%とすることを決定した。
(イ)12月21日,中銀は,インフレ報告書(四半期に一度公表)を発表し,条件付インフレ率予測について,2017年は2.8%,2018年は4.2%,2019年は4.2%,2020年は4.1%前後とされた。また,GDP成長率予測については,2017年は1.0%,2018年は2.6%とされた。
(イ)月の前半は,年金制度改革の年内の採決をめぐる材料に一喜一憂する展開となったものの,採決が2018年2月に延期されるとの発表を受けて,レアルは1ドル=3.3レアル台まで下落した。
(ウ)月の後半は,大手格付会社S&P社による国債の格下げリスクが意識されたものの,その後はクリスマス休暇に入り流動性が低下して小動きとなった。月末は1ドル=3.3125レアルで取引を終えた(前月比1.4%のドル高・レアル安)。
(イ)月の前半は,年金制度改革の年内の採決をめぐって方向感のない展開となり,株価指数は73,000ポイントを挟んで小動きとなった。
(ウ)月の後半は,米ボーイング社と航空大手エンブラエル社の提携協議や銀行大手の自社株買いの報道を受けてリスク選好の動きが強まり,株価指数は75,000ポイント台を回復した。月末の株価指数は76,402.08ポイントとなり,前月比+6.2%の上昇となった。
(1)経済情勢等(12月発表の経済指標)
(2)経済政策等
(3)中銀の金融政策等
(4)為替市場
(5)株式市場
(1)経済情勢等(12月発表の経済指標)
(ア)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に基づくGDP成長率予測に関し,12月22日時点では,2017年のGDP成長率は0.98%で4週連続の上方修正,2018年のGDP成長率は2.68%とされた。また,2017年のインフレ率見通しは2.78%で5週連続の下方修正,2018年のインフレ率見通しは3.96%とされた。(イ)11月の拡大消費者物価指数(IPCA)は単月で0.28%となり,前月の0.42%から下落した。また,過去12か月累計では2.80%となり,政府のインフレ目標(4.5%±1.5%)の下限値を下回る水準で推移している。
(ウ)10月の鉱工業生産指数は,前年同月比+5.3%で6か月連続でプラスを記録したほか,前月比では+0.2%となり,2か月連続でプラスを記録した。
(エ)11月の貿易収支は,輸出額は166.83億ドル(前年同月比+2.9%,前月比▲11.6%),輸入額は131.43億ドル(前年同月比+14.7%,前月比▲3.9%)で,差引き35.41億ドル(前年同月比▲25.5%,前月比▲31.8%)となり,33か月連続で貿易黒字を記録した。
(オ)10月の小売売上高は,前年同月比+2.5%で7か月連続でプラスを記録した一方,前月比では▲0.9%となり,2か月ぶりにマイナスに転じた。
(カ)全国の失業率(9~11月の移動平均)は12.0%となり,前回の公表値(8~10月の移動平均)から0.2%下落して8か月連続で改善した。
(2)経済政策等
(ア)12月10日,テメル大統領は,第11回WTO閣僚会議の開会式に出席し,我々はブラジルの近代化のために野心的な改革アジェンダを追求しており,これはグローバル経済により深く関わっていくために必要なことであると発言した。(イ)12月13日,連邦議会は,2018年度の連邦政府予算案(LOA:年間予算法)を承認した。本予算案では,2018年度のGDP成長率は2.5%,最低賃金は965レアルとされており,連邦政府のプライマリーバランスは▲1,570億レアルの赤字を見込んでいる。
(ウ)12月14日,ホドリゴ・マイア連邦下院議長は,焦点となっている年金制度改革に関する憲法改正案について,下院本会議における採決日程を2018年2月19日に延期する旨発表した。
(エ)12月14日,メイレレス財務大臣は,GDP成長率の政府見通しについて,2017年は0.5%から1.1%,2018年は2.0%から3.0%にそれぞれ上方修正すると発表した。
(オ)12月21日,国家通貨審議会(CMN)は通常会合を開催し,2018年第1四半期のTJLP(政府系金融機関である伯経済社会開発銀行(BNDES)の融資条件として使用される長期政策金利)を0.25%引き下げて年率6.75%とすることを決定した。
(3)中銀の金融政策等
(ア)12月6日,中銀の金融政策委員会(Copom)は,政策金利(Selic)を0.50%引き下げて年率7.00%とする旨を全会一致で決定した。なお,政策金利の引下げの決定は10会合連続となった。(イ)12月21日,中銀は,インフレ報告書(四半期に一度公表)を発表し,条件付インフレ率予測について,2017年は2.8%,2018年は4.2%,2019年は4.2%,2020年は4.1%前後とされた。また,GDP成長率予測については,2017年は1.0%,2018年は2.6%とされた。
(4)為替市場
(ア)12月のドル・レアル為替相場は,年金制度改革の採決延期により下落し,その後は小動きとなった。(イ)月の前半は,年金制度改革の年内の採決をめぐる材料に一喜一憂する展開となったものの,採決が2018年2月に延期されるとの発表を受けて,レアルは1ドル=3.3レアル台まで下落した。
(ウ)月の後半は,大手格付会社S&P社による国債の格下げリスクが意識されたものの,その後はクリスマス休暇に入り流動性が低下して小動きとなった。月末は1ドル=3.3125レアルで取引を終えた(前月比1.4%のドル高・レアル安)。
(5)株式市場
(ア)12月のブラジルの株式相場(Ibovespa指数)は,前半は年金制度改革の採決をめぐって神経質な展開となった一方,後半は航空大手の提携協議報道を材料に上昇する展開となった。(イ)月の前半は,年金制度改革の年内の採決をめぐって方向感のない展開となり,株価指数は73,000ポイントを挟んで小動きとなった。
(ウ)月の後半は,米ボーイング社と航空大手エンブラエル社の提携協議や銀行大手の自社株買いの報道を受けてリスク選好の動きが強まり,株価指数は75,000ポイント台を回復した。月末の株価指数は76,402.08ポイントとなり,前月比+6.2%の上昇となった。