「野口大使のブラジル便り」第3号(7月10日)

令和8年7月10日

「サッカーと柔道」

     この寄稿が発行されている頃は世界がワールドカップに熱狂している頃であろう。ブラジルと聞いて、多くの方が思い浮かべるのがサッカーの強い国というイメージであろう。ワールドカップで、最多の五回の優勝を果たしている。ワールドカップの年はその試合の視聴のために、ブラジルでは例年よりもテレビがよく売れるとも言われている。そして、サッカーはブラジルと日本の絆を表す代表的なスポーツである。日本では、それまで野球が支配的なスポーツであった中で、90年代半ばにJリーグがスタートし、多くのブラジル人コーチ、選手を招き、日本のサッカーは人気、実力とも上昇した。ジーコ、ドゥンガ、ワシントン、レオナルドなどブラジルの第一線で活躍した多くの選手が日本でプレイし、指導した。98年のフランスワールドカップに初めて出場できたのも、こうしたブラジル人選手やコーチのおかげである面は否定できないであろう。98年以後も日本は連続してワールドカップに出場し、本年のワールドカップで8回連続となる。サッカーにおいて、ブラジルは日本にとってお兄さんのような存在なのである。昨年日本で行われた日本対ブラジルの親善試合では、弟である日本がお兄さんであるブラジルに対して、初めての白星となる見事な試合をみせた。今年のワールドカップも、日本もブラジルも出場している。両国代表の健闘を期待したい。


 
     これに対して、日本がブラジルに教えたのが柔道である。日系人がブラジルに持ち込み、日系人のおかげでブラジルで柔道が広まった。現在では、ブラジルの柔道人口は200万人とも言われており、世界最大の柔道人口で日本の柔道人口をはるかに凌ぐ。オリンピックの競技別で、ブラジルが獲得したメダル数は柔道が1番である。このようにブラジルでは柔道が確実に根付き、レベルも高くなっている。また、技術の習得にとどまらず、日本の柔道精神である「尊重・規律・礼儀」もともに学んでおり、柔道が単なるスポーツを超えた文化として広く浸透していることがうかがえる。

     なお、日系人は柔道のみならず、野球もブラジルに持ち込み、ブラジル人は当初、野球は日本のスポーツであると勘違いしていた人も多いとのことである。初期の頃は、野球のブラジル代表はほとんどが日系人であった。今でも、ブラジル野球ソフトボール連盟の役員はほとんどが日系人である。そのほか、日系人は運動会の文化もブラジルに持ち込み、日系人は野菜や魚を食し、スポーツを愛する健康的な民族であるとのイメージが強い。

     政治、経済のみならず、こうしたスポーツの分野でも日本とブラジルの絆は深く、骨太な二国間関係に貢献していることをぜひ読者の皆様に知っていただければ幸いである。