最近の経済情勢 2018年9月号

平成30年9月17日
ブラジル・マクロ経済情勢

(1)経済情勢等(8月発表の経済指標)
(2)経済政策等
(3)中銀の金融政策等
(4)為替市場
(5)株式市場

 

(1)経済情勢等(8月発表の経済指標)

(ア)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に関して、8月31日時点で、GDP成長率予測を、2018年は1.44%と下方修正し、2019 年は2.50%で据え置いた。インフレ率については、2018年は4.16%、2019年は4.11%と下方修正した。

(イ)6月の鉱工業生産指数は、5月のトラック運転手のストライキの影響による下落からの反発により、前月比では+13.1%となり、2002年の統計開始以来、高い数値を記録した。前年同月比は+3.5%の増加となった。

(ウ)6月の小売売上高は,前年同月比+1.5%で15か月連続でプラスを記録したほか,前月比では▲0.3%となり,2か月連続でマイナスを記録した。

(エ)全国の失業率(5~7月の移動平均)は12.3%となり,前回の公表値(4~6月の移動平均)から0.1%下落して4か月連続で改善した。

(オ)7月の貿易収支は,輸出額は228.70億ドル(前年同月比+21.9%,前月比+14.0%)、輸入額は186.43億ドル(前年同月比+49.5%,前月比+30.17%)で,差引き42.27億ドル(前年同月比▲32.8%,前月比▲26.4%)となり,41か月連続で貿易黒字を記録した。

(カ)7月の拡大消費者物価指数(IPCA)は単月で0.33%となり,前月の1.26%から下落した。また,過去12か月累計では4.48%となり,政府のインフレ目標(4.5%±1.5%)内の水準で推移している。

 

(2)経済政策等

(ア)ブラジルの郵便事業者「コレイオス」は、ブラジルに到着する全ての国際郵便小包に対して、15レアルの手数料を課すことを決め、8月27日から徴収を開始。

(イ)7月の税収額が1,296億レアル(前年同月比12.8%増)となり、2011年以降の最高額を記録。今年1月-7月の税収額は8,438億レアル(前年の同期比7.7%増)を記録し、2014年以降で最も大きな増加率を記録。

(ウ)8月29日、テメル大統領が連邦裁判所判事の給与引き上げと、公務員給与の増額を決定。政府は公務員給与の調整により、69億レアルを節約することができると試算していた。

 

(3)中銀の金融政策等

(ア)7月31日・8月1日、中銀の金融政策委員会(Copom)は、前回に引き続き政策金利(Selic)を年率6.50%に据え置くことを全会一致で決定。政策金利の据え置きの決定は3会合連続となった。次回は9月17日及び18日に開催予定。

(イ)8月30日、レアル安対応のため2ヶ月ぶりにスワップ入札を再開。1ドル=4.21レアルから4.14台後半まで反発。

 

(4)為替市場

(ア)8月の為替レートは、前半はトルコの通貨リラ暴落を契機に新興国通貨が売られたこと、後半はブラジル大統領選挙で市場が待望する中道派候補への支持率伸び悩みが報道されたこと及びアルゼンチンペソが急落したことによって一貫してレアル売りが進み,1ドル4レアルを突破。

(イ)月の前半は、トルコショックにより新興国通貨全般が売られ、レアル安が加速。

(ウ)月の後半は、大統領選挙の調査結果が危機感を煽り、さらに隣国アルゼンチンの債務返済に不透明感が高まったことから、ドル買いが増加。1ドル4レアルに突入。月末の終値は1ドル=4.0540レアルとなった。

 

(5)株式市場

(ア)8月のブラジルの株式相場(Ibovespa指数)は、前半は下落傾向、後半は75.000~78.000ポイントのレンジで推移。

(イ)月の前半は、下落傾向。3日に81.4351を記録。その後、下落を続け、10日のトルコショックにより76.000ポイント台に急落。その後、78.000ポイント代まで反発。

(ウ)月の後半は、大統領選挙の調査結果を受け、21日に75.180ポイントに下落。それ以降は、75.000~78.000ポイントのレンジで推移。