トピックス 2018年5月号
平成30年5月8日
ブラジル政治情勢(4月の出来事)
[内政]
(1)ルーラ元大統領の逮捕
(2)閣僚交代
(3)テメル政権支持率
[外政]
(1)英国における元ロシア情報機関員襲撃事件
(2)伯・イラン関係(ザリーフ・イラン外相の訪伯)
(3)テメル大統領の米州サミット出席
(4)安保理非常任理事国選挙(伯の2021年選挙立候補)
(5)米英仏によるシリア軍事攻撃
(6)南米諸国連合(UNASUL)への伯及び5か国による参加停止表明
(7)次期駐日大使に対するアグレマン付与
(8)北朝鮮問題
(9)ピニェラ・チリ大統領の訪伯
トピックス
(1)第8回日伯賢人会議会議について
(2)山田大使のセアラ州訪問・経済セミナー参加
(3)オリヴェイラ上院議長の訪日
(4)ペルナンブコ州議会による日本顕彰(在レシフェ総領事館)
(5)山本防衛副大臣の訪伯
(ア)4月4日,連邦最高裁は,ルーラ元大統領弁護団による「人身保護令」の発出要請について審議し,6対5の過半数で棄却。
(イ)4月5日,モロ・クリチバ連邦地方裁判所は,ルーラ元大統領に対する収監状(4月6日17時までにクリチバ連邦警察への出頭命令)を発出。ルーラは期限時刻までに出頭せず。サンパウロ州サンベルナルド・ド・カンポ市内の金属工業労組の建物に籠城。
(ウ)4月7日夜,ルーラ元大統領は,勤続工業労組の建物まで迎えに来た連邦警察の車列に搭乗し,サンベルナルド・ド・カンポからサンパウロ連邦警察施設を経由した後,ヘリコプターでサンパウロ・コンゴーニャス空港に移動。その後,同空港から連邦警察のセスナ機でクリチバ空港へ移動し,クリチバ連邦警察署に出頭。
(2)閣僚交代
(ア)4月10日,新閣僚11名が就任(10月選挙に出馬する閣僚は4月7日までに辞任する必要があり,同日までに多数の閣僚が辞任)。
(イ)新たに就任したのは,ロッシエリ・ソアレス教育大臣(前・教育省基礎教育局長),アルベルト・ベルトラメ社会開発大臣(前・社会開発次官),エドゥアルド・グアルディア財務大臣(前・財務次官),エステベス・コウナーゴ企画開発行政管理大臣(前・企画開発行政管理省次官),モレイラ・フランコ鉱山エネルギー大臣(前・大統領府事務総局長官),クルス・フロエス・ダ・シルヴァ・スポーツ大臣(前・スポーツ省スポーツ・教育・レジャー・社会統合担当局長),ヴィニシウス・ルメルツ観光大臣(前・観光庁長官),アントニオ・デ・デウス・アンドラーデ国家統合大臣(前・国家統合省ハイドロ・インフラ担当局長),ジョルジ・リマ産業貿易大臣(前・同大臣代行),エルトン・ヨムラ労働大臣(前・大臣代行※日系),グスタヴォ・ロッシャ人権大臣(前・大臣代行)。
(ウ)4月10日以前にも,シルヴェイラ運輸港湾民間航空大臣及びオッキ保健大臣が新たに就任。
(エ)ヌネス外相及びカサビ科学技術革新通信大臣は留任。
(オ)その他,サルネイ・フィーリョ大臣環境大臣が辞任し,エドソン・ドゥアルテ環境次官が大臣代行に就任。
(カ)連邦下院では,4月4日,ブルーナ・フルラン前外交・国防委員長(PSDB)に代わり,ニルソン・ピント下院議員(PSDB)が外交・国防委員長に選出された。
(3)テメル政権支持率
4月5日,IBOPE社が発表した世論調査(3月22~25日実施,126都市,2千人対象,CNI委託)によれば,テメル政権支持率は,最良/良い:5%(昨年12月: 6%),普通:21%(昨年12月:19%),最悪/良い:72%(昨年12月:74%),回答なし:2%(昨年12月:2%)となった。政権支持率は依然として低水準に留まっているが,テメル大統領に対する二度目の起訴が行われ,最低数値を記録した昨年9月以降,昨年12月の調査で悪化傾向に歯止めが見られ,現在まで緩やかな回復基調が継続。
4月7日,伯外務省は同Facebook上において,英国における元ロシア情報機関員に対する化学兵器使用に関し,ステートメントを発表。仮に,何らかの化学作用物が確認された場合,伯はかかる攻撃の首謀者を特定し,責任の追及を行うために,全ての努力が払われることを要請する旨,また,OPCW執行理事会が化学兵器禁止条約の全体性を担保すると共に,関係諸国間の理解と協議を円滑にするに当たり中心的な役割を有する旨を表明。
(2)伯・イラン関係(ザリーフ・イラン外相の訪伯)
4月10日,ザリーフ・イラン外相は伯を訪問し,テメル大統領表敬,ヌネス外務大臣との会談,同大臣主催昼食会,マイア下院議長表敬,CNI(全国工業連盟)でのブラジル・イラン経済貿易セミナー出席,リオブランコ研修所(伯外交官研修所)での学術セミナー出席等を行った。
(3)テメル大統領の米州サミット出席
4月13日及び14日,テメル大統領は,リマ(ペルー)で開催された第8回米州サミットに出席。全体会合のスピーチにおいて,米英仏によるシリア軍事攻撃に関して,「シリアにおける軍事紛争の拡大について伯の深い懸念を表明したい。あまりにも長い間続いてきた戦争に対し,国際法に基づいた持続的な解決策を見出す時は既に来ている」旨言及(下記5.参照)。
(4)安保理非常任理事国選挙(伯の2021年選挙立候補)
4月13日,テメル大統領は,第8回米州サミットに際して,エルナンデス・ホンジュラス大統領との会談を行い,両国間の合意により,伯政府による2022年~23年任期の安保理非常任理事国選挙への立候補が実現したことを祝した。
(5)米英仏によるシリア軍事攻撃
4月15日,伯政府は,本件に関して,シリアでの軍事紛争の激化,及び,4月7日のドゥーマ及び東グータにおける化学兵器使用に大きな懸念を表明する旨の声明を発表。シリアでの紛争を克服するためには,化学兵器の使用禁止や効果的な対話を含む,国連憲章及び国際法の尊重の必要性を表明。
(6)南米諸国連合(UNASUL)への伯及び5か国による参加停止表明
4月18日,伯,亜,パラグアイ,コロンビア,チリ及びペルーの6か国外相は,無期限でUnasulへの参加を停止するとの決定を行った旨の共同書簡を,議長国ボリビアのウアナクミ(Huanacumi)外務大臣に提出した。
(7)次期駐日大使に対するアグレマン付与
4月19日,伯外務省は,次期駐日大使として,エドゥアルド・パエス・サボイア現外務大臣官房長にアグレマン(注:外交使節を派遣する際にあらかじめ相手国に求める承認)が付与された旨,HP上で発表。同声明によれば,伯政府は「日本政府がエドゥアルド・パエス・サボイアを駐日ブラジル特命全権大使としてアグレマンが付与されたことを歓迎する。なお,伯憲法に従い,本任命は上院の審議に付される必要がある」旨記されている。
(8)北朝鮮問題
(ア)北朝鮮による核・ミサイル実験及び核実験場の使用停止発表
4月21日,伯外務省は北朝鮮による核・ミサイル実験及び核実験場の使用停止発表に関して声明を発出。伯政府は,同発表を「満足をもって受け止める」と共に,「国連安全保障理事会の関連決議に沿うものであり,地域の緊張を軽減するために必要なステップである」旨表明
(イ)南北首脳会談
4月27日,伯外務省は同HP上にて本件会談に関する声明を発表。右によれば,伯は,本件宣言の内容を歓迎すると共に,平和へのコミットメント,核兵器禁止及び紛争解決における外交と国際法の優位性を改めて確認する旨表明。
(9)ピニェラ・チリ大統領の訪伯
(ア)4月27日,ピニェラ・チリ大統領は,ブラジルに国賓訪問し,テメル大統領と会談。連邦下院議長及び連邦最高裁判所長官とも会談を行った。
(イ)両首脳は,貿易,インフラ・プロジェクト,領事,防衛,科学技術,文化等の分野における協力や南極問題や多国間及び地域課題での取組等,幅広い事項を含む共同声明が発表される共に,両国間の公共調達協定と金融サービスに関する議定書が締結された。
(ア)第8回日伯賢人会議の開催
4月4日,リオデジャネイロにて,日本とブラジルの経済界の主要なリーダーから構成される「日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議」が開催され,山田大使が出席した。
※賢人会議(日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議)
2007年に日伯間の戦略的経済パートナーシップの再活性化に貢献することを目的として設立された賢人会議は、4月4日、リオデジャネイロで第8回目の会合を行い、日伯両国首脳に対する提言書を取りまとめた。
(参考)日伯賢人会議による提言書等
※日伯賢人会議メンバー
(イ)日伯賢人会議メンバーによるテメル大統領に対する報告
4月5日、日伯賢人会議メンバーは、テメル大統領を訪問し、会合で合意された日伯賢人による提言書を提出し、説明を行った。
(ウ)日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議メンバーによる安倍総理大臣表敬
4月27日午後6時から約15分間,安倍晋三内閣総理大臣は,「日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議」の日本側メンバーによる表敬を受けたところ,概要は以下のとおり。
冒頭,三村明夫日本側座長(新日鐵住金相談役名誉会長)から,4月4日,リオデジャネイロで第8回賢人会議を開催したことを報告し,日本とメルコスールの経済連携の強化,ブラジルの産業競争力の向上及びインフラ整備の必要性などを盛り込んだ提言書を安倍総理大臣に手交された。
三村座長及び飯島彰己三井物産代表取締役会長から,日本とブラジルを含むメルコスールとの貿易・投資関係の緊密化は重要であり,両国経済界ともにこれを支持している旨説明された。
(2)山田大使のセアラ州訪問
山田大使は、4月6日、7日、セアラ州を公式訪問した。
6日は、同州フォルタレーザ市内の州知事官邸にて、カミロ・サンターナ・セアラ州知事と会談するとともに、セアラ州主催の経済セミナーに参加し、7日は、同州ペセン市の輸出加工区(ZPE)とペセン港を視察した。
州知事との会談とセミナーにはセアラ州出身のオリヴェイラ上院議長も参加した。また、日本側からはセアラ州を管轄する丸橋在レシフェ総領事も同行した。
6日のカミロ知事との会談において、山田大使は、冒頭、セアラ州を含む北東伯7州を管轄する在レシフェ領事事務所が本年1月より総領事館に再び格上げになったことを紹介した上で、セアラ州と在レシフェ総領事館との間に緊密な連絡を維持して頂きたいと述べた。
続いて、その後行われるセアラ州主催の経済セミナーや、7日に予定されるZPEとペセン港の現地訪問を通じて日本企業の進出促進への期待を表明するとともに、日本企業の進出に関する重要な要素として、ビジネス環境の整備に加え治安の改善が重要であると述べた。
さらに、日本人ブラジル移住110周年に当たり、日伯関係の一層の緊密化に向けた支援などをカミロ知事に呼びかけた。
6日のセアラ州主催のセミナー、7日のZPEとペセン港の視察には、ブラジル日本商工会議所とその会員企業20社、JETROが参加し、情報収集や意見交換、現場における生産基盤の確認などを行った。

(3)オリヴェイラ上院議長の訪日
4月17日(火)、参議院の招待により来日したオリヴェイラ・ブラジル連邦共和国上院議長一行が参議院を訪問し、伊達議長、郡司副議長、山本議院運営委員長及び議院運営委員会理事と懇談を行った。
伊達議長は、日本人のブラジル移住110周年という記念すべき年にオリヴェイラ議長一行を迎えることができ大変嬉しいと述べた上で、両国が戦略的グローバル・パートナーとしての強固な友好関係を築くに当たり日系人の活躍が大きく寄与してきたとの認識を示し、要人の往来が活発化し国民レベルでの人的交流も増加傾向にある中、今後も国民の代表である議会間・議員間の交流を着実に積み重ねることで両国の友好協力関係を更に強固にしていきたい旨述べた。
これに対し、オリヴェイラ議長は、訪日招待と温かい歓迎への謝意を述べた上で、今では多くの日系人が上下両院で活躍しており両国国民の移動の歴史が様々な足跡を残してきたとの認識を示し、放送分野や農業分野における日本の協力の成果に触れ、ブラジルでは経済特区の設置や中小企業支援のための法律の制定など投資環境の整備を進めており、経済の後退期間を抜け出し来年も成長が見込まれるブラジルに日本企業が進出し活躍することを期待する旨述べた。
(4)ペルナンブコ州議会による日本顕彰(在レシフェ総領事館)
4月24日,ペルナンブコ州議会において,我が国とドイツに対する「ペルナンブコ州国際友好国賞」の授賞式が行われ,丸橋在レシフェ総領事が出席した。同賞は,昨年,同州議会で創設され,今回が創設後,初の授賞式となった。
同授賞式には,ジョアキン・リラ議員,オセシオ・シルヴァ議員,ロベルタ・アラエス議員等の州議会議員他,日本関係者としてレシフェ日本文化協会会長,シルヴァ東北伯元日本留学・研修生会長他,また,コニング・ドイツ総領事,ラストラ・アルゼンチン総領事等の領事団,合計約100名が出席した。
我が国の受賞はオセシオ・シルヴァ議員の推薦で実現。式典において同議員は,120年以上にわたり友好関係を維持してきた日伯関係の礎は,本年110周年を迎える日本人のブラジル移住で形成されてきた日系人社会のお陰であること,また,これら移住者が,農業分野や規律と教育重視という人間教育の面でブラジルに大きく貢献したきたこと等,挨拶の中でその授賞理由を述べた。


(5)山本防衛副大臣の訪伯
(ア)4月29日~30日,山本防衛副大臣が訪伯。29日,サンパウロでは,開拓戦没者慰霊碑(献花),日本館視察,ブラジル日本移民資料館を視察すると共に,サイトウ元空軍司令官と懇談を行った。
(イ)30日,山本副大臣は,ブラジリアにて,シルバ・イ・ルーナ国防大臣,エチェゴエン大統領府安全保障室長官との会談,サイバーコマンド視察,航空管制防衛統合センター視察等を行った。
[内政]
(1)ルーラ元大統領の逮捕
(2)閣僚交代
(3)テメル政権支持率
[外政]
(1)英国における元ロシア情報機関員襲撃事件
(2)伯・イラン関係(ザリーフ・イラン外相の訪伯)
(3)テメル大統領の米州サミット出席
(4)安保理非常任理事国選挙(伯の2021年選挙立候補)
(5)米英仏によるシリア軍事攻撃
(6)南米諸国連合(UNASUL)への伯及び5か国による参加停止表明
(7)次期駐日大使に対するアグレマン付与
(8)北朝鮮問題
(9)ピニェラ・チリ大統領の訪伯
トピックス
(1)第8回日伯賢人会議会議について
(2)山田大使のセアラ州訪問・経済セミナー参加
(3)オリヴェイラ上院議長の訪日
(4)ペルナンブコ州議会による日本顕彰(在レシフェ総領事館)
(5)山本防衛副大臣の訪伯
【内政】
(1)ルーラ元大統領の逮捕(ア)4月4日,連邦最高裁は,ルーラ元大統領弁護団による「人身保護令」の発出要請について審議し,6対5の過半数で棄却。
(イ)4月5日,モロ・クリチバ連邦地方裁判所は,ルーラ元大統領に対する収監状(4月6日17時までにクリチバ連邦警察への出頭命令)を発出。ルーラは期限時刻までに出頭せず。サンパウロ州サンベルナルド・ド・カンポ市内の金属工業労組の建物に籠城。
(ウ)4月7日夜,ルーラ元大統領は,勤続工業労組の建物まで迎えに来た連邦警察の車列に搭乗し,サンベルナルド・ド・カンポからサンパウロ連邦警察施設を経由した後,ヘリコプターでサンパウロ・コンゴーニャス空港に移動。その後,同空港から連邦警察のセスナ機でクリチバ空港へ移動し,クリチバ連邦警察署に出頭。
(2)閣僚交代
(ア)4月10日,新閣僚11名が就任(10月選挙に出馬する閣僚は4月7日までに辞任する必要があり,同日までに多数の閣僚が辞任)。
(イ)新たに就任したのは,ロッシエリ・ソアレス教育大臣(前・教育省基礎教育局長),アルベルト・ベルトラメ社会開発大臣(前・社会開発次官),エドゥアルド・グアルディア財務大臣(前・財務次官),エステベス・コウナーゴ企画開発行政管理大臣(前・企画開発行政管理省次官),モレイラ・フランコ鉱山エネルギー大臣(前・大統領府事務総局長官),クルス・フロエス・ダ・シルヴァ・スポーツ大臣(前・スポーツ省スポーツ・教育・レジャー・社会統合担当局長),ヴィニシウス・ルメルツ観光大臣(前・観光庁長官),アントニオ・デ・デウス・アンドラーデ国家統合大臣(前・国家統合省ハイドロ・インフラ担当局長),ジョルジ・リマ産業貿易大臣(前・同大臣代行),エルトン・ヨムラ労働大臣(前・大臣代行※日系),グスタヴォ・ロッシャ人権大臣(前・大臣代行)。
(ウ)4月10日以前にも,シルヴェイラ運輸港湾民間航空大臣及びオッキ保健大臣が新たに就任。
(エ)ヌネス外相及びカサビ科学技術革新通信大臣は留任。
(オ)その他,サルネイ・フィーリョ大臣環境大臣が辞任し,エドソン・ドゥアルテ環境次官が大臣代行に就任。
(カ)連邦下院では,4月4日,ブルーナ・フルラン前外交・国防委員長(PSDB)に代わり,ニルソン・ピント下院議員(PSDB)が外交・国防委員長に選出された。
(3)テメル政権支持率
4月5日,IBOPE社が発表した世論調査(3月22~25日実施,126都市,2千人対象,CNI委託)によれば,テメル政権支持率は,最良/良い:5%(昨年12月: 6%),普通:21%(昨年12月:19%),最悪/良い:72%(昨年12月:74%),回答なし:2%(昨年12月:2%)となった。政権支持率は依然として低水準に留まっているが,テメル大統領に対する二度目の起訴が行われ,最低数値を記録した昨年9月以降,昨年12月の調査で悪化傾向に歯止めが見られ,現在まで緩やかな回復基調が継続。
【外政】
(1)英国における元ロシア情報機関員襲撃事件4月7日,伯外務省は同Facebook上において,英国における元ロシア情報機関員に対する化学兵器使用に関し,ステートメントを発表。仮に,何らかの化学作用物が確認された場合,伯はかかる攻撃の首謀者を特定し,責任の追及を行うために,全ての努力が払われることを要請する旨,また,OPCW執行理事会が化学兵器禁止条約の全体性を担保すると共に,関係諸国間の理解と協議を円滑にするに当たり中心的な役割を有する旨を表明。
(2)伯・イラン関係(ザリーフ・イラン外相の訪伯)
4月10日,ザリーフ・イラン外相は伯を訪問し,テメル大統領表敬,ヌネス外務大臣との会談,同大臣主催昼食会,マイア下院議長表敬,CNI(全国工業連盟)でのブラジル・イラン経済貿易セミナー出席,リオブランコ研修所(伯外交官研修所)での学術セミナー出席等を行った。
(3)テメル大統領の米州サミット出席
4月13日及び14日,テメル大統領は,リマ(ペルー)で開催された第8回米州サミットに出席。全体会合のスピーチにおいて,米英仏によるシリア軍事攻撃に関して,「シリアにおける軍事紛争の拡大について伯の深い懸念を表明したい。あまりにも長い間続いてきた戦争に対し,国際法に基づいた持続的な解決策を見出す時は既に来ている」旨言及(下記5.参照)。
(4)安保理非常任理事国選挙(伯の2021年選挙立候補)
4月13日,テメル大統領は,第8回米州サミットに際して,エルナンデス・ホンジュラス大統領との会談を行い,両国間の合意により,伯政府による2022年~23年任期の安保理非常任理事国選挙への立候補が実現したことを祝した。
(5)米英仏によるシリア軍事攻撃
4月15日,伯政府は,本件に関して,シリアでの軍事紛争の激化,及び,4月7日のドゥーマ及び東グータにおける化学兵器使用に大きな懸念を表明する旨の声明を発表。シリアでの紛争を克服するためには,化学兵器の使用禁止や効果的な対話を含む,国連憲章及び国際法の尊重の必要性を表明。
(6)南米諸国連合(UNASUL)への伯及び5か国による参加停止表明
4月18日,伯,亜,パラグアイ,コロンビア,チリ及びペルーの6か国外相は,無期限でUnasulへの参加を停止するとの決定を行った旨の共同書簡を,議長国ボリビアのウアナクミ(Huanacumi)外務大臣に提出した。
(7)次期駐日大使に対するアグレマン付与
4月19日,伯外務省は,次期駐日大使として,エドゥアルド・パエス・サボイア現外務大臣官房長にアグレマン(注:外交使節を派遣する際にあらかじめ相手国に求める承認)が付与された旨,HP上で発表。同声明によれば,伯政府は「日本政府がエドゥアルド・パエス・サボイアを駐日ブラジル特命全権大使としてアグレマンが付与されたことを歓迎する。なお,伯憲法に従い,本任命は上院の審議に付される必要がある」旨記されている。
(8)北朝鮮問題
(ア)北朝鮮による核・ミサイル実験及び核実験場の使用停止発表
4月21日,伯外務省は北朝鮮による核・ミサイル実験及び核実験場の使用停止発表に関して声明を発出。伯政府は,同発表を「満足をもって受け止める」と共に,「国連安全保障理事会の関連決議に沿うものであり,地域の緊張を軽減するために必要なステップである」旨表明
(イ)南北首脳会談
4月27日,伯外務省は同HP上にて本件会談に関する声明を発表。右によれば,伯は,本件宣言の内容を歓迎すると共に,平和へのコミットメント,核兵器禁止及び紛争解決における外交と国際法の優位性を改めて確認する旨表明。
(9)ピニェラ・チリ大統領の訪伯
(ア)4月27日,ピニェラ・チリ大統領は,ブラジルに国賓訪問し,テメル大統領と会談。連邦下院議長及び連邦最高裁判所長官とも会談を行った。
(イ)両首脳は,貿易,インフラ・プロジェクト,領事,防衛,科学技術,文化等の分野における協力や南極問題や多国間及び地域課題での取組等,幅広い事項を含む共同声明が発表される共に,両国間の公共調達協定と金融サービスに関する議定書が締結された。
トピックス
(1)第8回日伯賢人会議について(ア)第8回日伯賢人会議の開催
4月4日,リオデジャネイロにて,日本とブラジルの経済界の主要なリーダーから構成される「日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議」が開催され,山田大使が出席した。

(左から、山田大使、釜 IHI相談役、ルーベンス・オメット Cosan社長、飯島 三井物産代表取締役会長、ロベルト・ロドリゲス 元伯農務大臣、内山田 トヨタ自動車取締役会長、カルロス・マリアーニ 伯石油化学工業連盟会長(伯側座長)、三村 新日鐵住金相談役名誉会長(日本側座長)、ファビオ・シュバルツマン ヴァーレ社社長、林 JBIC代表取締役専務取締役、カルロス・ゴメス BNDES監査・金融・国際担当部長)
Foto: Flickr/Michel Temer
Foto: Flickr/Michel Temer
※賢人会議(日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議)
2007年に日伯間の戦略的経済パートナーシップの再活性化に貢献することを目的として設立された賢人会議は、4月4日、リオデジャネイロで第8回目の会合を行い、日伯両国首脳に対する提言書を取りまとめた。
(参考)日伯賢人会議による提言書等
※日伯賢人会議メンバー
【日本側】 | 【ブラジル側】 |
(座長)三村 明夫氏 新日鐵住金株式会社相談役名誉会長 |
(名誉座長)エリエゼール・バチスタ・ダ・シルヴァ氏 元ヴァーレ社特別顧問 |
榊原 定征氏 日本経済団体連合会会長 |
(座長)カルロス・マリアーニ・ビテンクール氏 ブラジル石油化学工業連盟会長 |
内山田 竹志氏 トヨタ自動車株式会社取締役会長 |
ロベルト・ロドリゲス氏 元農務大臣 |
飯島 彰己氏 三井物産株式会社代表取締役会長 |
ルーベンス・オメット氏 コザン社社長 |
釜 和明氏 株式会社IHI相談役 |
ファビオ・シュバルツマン氏 ヴァーレ社社長 |
林 信光氏 株式会社国際協力銀行代表取締役専務取締役 |
パウロ・ハベーロ・デ・カストロ 経済社会開発銀行(BNDES)総裁 |
(イ)日伯賢人会議メンバーによるテメル大統領に対する報告
4月5日、日伯賢人会議メンバーは、テメル大統領を訪問し、会合で合意された日伯賢人による提言書を提出し、説明を行った。


Foto: Flickr/Michel Temer
(ウ)日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議メンバーによる安倍総理大臣表敬
4月27日午後6時から約15分間,安倍晋三内閣総理大臣は,「日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議」の日本側メンバーによる表敬を受けたところ,概要は以下のとおり。
冒頭,三村明夫日本側座長(新日鐵住金相談役名誉会長)から,4月4日,リオデジャネイロで第8回賢人会議を開催したことを報告し,日本とメルコスールの経済連携の強化,ブラジルの産業競争力の向上及びインフラ整備の必要性などを盛り込んだ提言書を安倍総理大臣に手交された。
三村座長及び飯島彰己三井物産代表取締役会長から,日本とブラジルを含むメルコスールとの貿易・投資関係の緊密化は重要であり,両国経済界ともにこれを支持している旨説明された。
(2)山田大使のセアラ州訪問
山田大使は、4月6日、7日、セアラ州を公式訪問した。
6日は、同州フォルタレーザ市内の州知事官邸にて、カミロ・サンターナ・セアラ州知事と会談するとともに、セアラ州主催の経済セミナーに参加し、7日は、同州ペセン市の輸出加工区(ZPE)とペセン港を視察した。
州知事との会談とセミナーにはセアラ州出身のオリヴェイラ上院議長も参加した。また、日本側からはセアラ州を管轄する丸橋在レシフェ総領事も同行した。
6日のカミロ知事との会談において、山田大使は、冒頭、セアラ州を含む北東伯7州を管轄する在レシフェ領事事務所が本年1月より総領事館に再び格上げになったことを紹介した上で、セアラ州と在レシフェ総領事館との間に緊密な連絡を維持して頂きたいと述べた。
続いて、その後行われるセアラ州主催の経済セミナーや、7日に予定されるZPEとペセン港の現地訪問を通じて日本企業の進出促進への期待を表明するとともに、日本企業の進出に関する重要な要素として、ビジネス環境の整備に加え治安の改善が重要であると述べた。
さらに、日本人ブラジル移住110周年に当たり、日伯関係の一層の緊密化に向けた支援などをカミロ知事に呼びかけた。
6日のセアラ州主催のセミナー、7日のZPEとペセン港の視察には、ブラジル日本商工会議所とその会員企業20社、JETROが参加し、情報収集や意見交換、現場における生産基盤の確認などを行った。



カミロ州知事との会談
(3)オリヴェイラ上院議長の訪日
4月17日(火)、参議院の招待により来日したオリヴェイラ・ブラジル連邦共和国上院議長一行が参議院を訪問し、伊達議長、郡司副議長、山本議院運営委員長及び議院運営委員会理事と懇談を行った。
伊達議長は、日本人のブラジル移住110周年という記念すべき年にオリヴェイラ議長一行を迎えることができ大変嬉しいと述べた上で、両国が戦略的グローバル・パートナーとしての強固な友好関係を築くに当たり日系人の活躍が大きく寄与してきたとの認識を示し、要人の往来が活発化し国民レベルでの人的交流も増加傾向にある中、今後も国民の代表である議会間・議員間の交流を着実に積み重ねることで両国の友好協力関係を更に強固にしていきたい旨述べた。
これに対し、オリヴェイラ議長は、訪日招待と温かい歓迎への謝意を述べた上で、今では多くの日系人が上下両院で活躍しており両国国民の移動の歴史が様々な足跡を残してきたとの認識を示し、放送分野や農業分野における日本の協力の成果に触れ、ブラジルでは経済特区の設置や中小企業支援のための法律の制定など投資環境の整備を進めており、経済の後退期間を抜け出し来年も成長が見込まれるブラジルに日本企業が進出し活躍することを期待する旨述べた。
(4)ペルナンブコ州議会による日本顕彰(在レシフェ総領事館)
4月24日,ペルナンブコ州議会において,我が国とドイツに対する「ペルナンブコ州国際友好国賞」の授賞式が行われ,丸橋在レシフェ総領事が出席した。同賞は,昨年,同州議会で創設され,今回が創設後,初の授賞式となった。
同授賞式には,ジョアキン・リラ議員,オセシオ・シルヴァ議員,ロベルタ・アラエス議員等の州議会議員他,日本関係者としてレシフェ日本文化協会会長,シルヴァ東北伯元日本留学・研修生会長他,また,コニング・ドイツ総領事,ラストラ・アルゼンチン総領事等の領事団,合計約100名が出席した。
我が国の受賞はオセシオ・シルヴァ議員の推薦で実現。式典において同議員は,120年以上にわたり友好関係を維持してきた日伯関係の礎は,本年110周年を迎える日本人のブラジル移住で形成されてきた日系人社会のお陰であること,また,これら移住者が,農業分野や規律と教育重視という人間教育の面でブラジルに大きく貢献したきたこと等,挨拶の中でその授賞理由を述べた。





(5)山本防衛副大臣の訪伯
(ア)4月29日~30日,山本防衛副大臣が訪伯。29日,サンパウロでは,開拓戦没者慰霊碑(献花),日本館視察,ブラジル日本移民資料館を視察すると共に,サイトウ元空軍司令官と懇談を行った。
(イ)30日,山本副大臣は,ブラジリアにて,シルバ・イ・ルーナ国防大臣,エチェゴエン大統領府安全保障室長官との会談,サイバーコマンド視察,航空管制防衛統合センター視察等を行った。