最近の経済情勢 2018年5月号

平成30年5月8日
ブラジル・マクロ経済情勢

(1)経済情勢等(4月発表の経済指標)
(2)経済政策等
(3)中銀の金融政策等
(4)為替市場
(5)株式市場

 

(1)経済情勢等(4月発表の経済指標)

(ア)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に基づくGDP成長率予測に関し,4月27日時点では,2018年のGDP成長率は2.75%で先週から横ばい,2019年のGDP成長率は3.00%とされた。また,2018年のインフレ率見通しは3.49%で先週から横ばい,2019年のインフレ率見通しは4.03%とされた。

(イ)2月の鉱工業生産指数は,前年同月比+2.8%と10か月連続でプラスを記録したほか,前月比では+0.2%となり,2か月ぶりにプラスに転じた。

(ウ)2月の小売売上高は,前年同月比+1.3%と11か月連続でプラスを記録した一方,前月比では▲0.2%となり,2か月ぶりにマイナスに転じた。

(エ)全国の失業率(1~3月の移動平均)は13.1%となり,前回の公表値(12~2月の移動平均)から0.5%上昇して3か月連続で悪化した。

(オ)3月の貿易収支は,輸出額は200.89億ドル(前年同月比+0.1%,前月比+16.0%),輸入額は138.09億ドル(前年同月比+6.7%,前月比+11.3%)で,差引き62.81億ドル(前年同月比▲12.0%,前月比+28.1%)となり,37か月連続で貿易黒字を記録した。

(カ)3月の拡大消費者物価指数(IPCA)は単月で0.09%となり,前月の0.32%から大きく下落した。また,過去12か月累計では2.68%となり,政府のインフレ目標(4.5%±1.5%)の下限値を下回る水準で推移している。

 

(2)経済政策等

(ア)4月6日,メイレレス財務大臣は,記者会見において辞任を表明し,本年10月に行われる大統領選への出馬を検討する意向を明らかにした。

(イ)4月10日,メイレレス財務大臣の辞任に伴い,グアルディア財務次官が新たに財務大臣に就任した。

(ウ)4月10日,オリヴェイラ企画開発行政管理大臣が辞任して伯経済社会開発銀行(BNDES)総裁に就任したことに伴い,コウナーゴ企画開発行政管理次官が新たに企画開発行政管理大臣に就任した。

(エ)4月12日,グアルディア新財務大臣は,税制の簡素化とブラジル電力公社(エレトロブラス社)の民営化の推進が成長の基盤になると発言した。

(オ)4月17日,テメル大統領は,大統領府で行われた政府・与党首脳会議において,成長の基盤になる措置として,エレトロブラス社の民営化や社会保険料の企業負担軽減策(Folha de Pagamento)の廃止を実現する法案の承認が重要であると発言した。

 

(3)中銀の金融政策等

(ア)4月は政策金利(Selic)を決定する中銀の金融政策委員会(Copom)は開催されていない。次回会合は,5月15・16日に開催予定。

(イ)4月26日,国家通貨審議会(CMN)は,信用業務に関するフィンテック企業に対して,新たな規制を導入することを発表した。

 

(4)為替市場

(ア)4月のドル・レアル為替相場は,ほぼ一貫してドル高・レアル安が進行する展開となった。

(イ)月の前半は,米中貿易摩擦の懸念に加えて,内政面ではルーラ元大統領の逮捕を受けて10月の大統領選をめぐる不透明感が嫌気され,1ドル=3.4レアル台までレアル売りが進行した。

(ウ)月の後半は,米国の金利上昇を受けた全面的なドル買いの動きからレアル売りが進行し,節目となる1ドル=3.5レアルを上抜けた。月末は1ドル=3.5063レアルで取引を終えた(前月比6.0%のドル高・レアル安)。

 

(5)株式市場

(ア)4月のブラジルの株式相場(Ibovespa指数)は,前半はやや不安定な値動きとなったものの,後半に入ると反騰する展開となった。

(イ)月の前半は,米中貿易摩擦の懸念やシリア情勢をめぐる不透明感から,株価指数は一時82,000ポイント台まで下落するなど不安定な値動きとなった。

(ウ)月の後半は,安値拾いや鉄鋼関連株の上昇により株価指数は短期間のうちに反騰し,その後も原油価格の続伸等を背景に資源銘柄が買われるなどして堅調に推移した。月末の株価指数は86,115.50ポイントとなり,前月比+0.9%の上昇となった。