トピックス 2018年7月号

ブラジル政治情勢(6月の出来事)
[内政]
(1)テメル政権の支持率と大統領選各候補者の支持率
(2)連邦最高裁(STF)がホフマン上院議員(PT)に無罪の判決
(3)ルーラ元大統領弁護団の攻防
(4)連邦最高裁(STF)がジルセウ元文官庁長官を釈放


[外政]
(1)伯・北朝鮮友好議連の発足
(2)ペンス米副大統領の訪伯
(3)楊暁渡中国共産党中央政治局委員の訪伯


トピックス
(1)第4回自衛隊記念日レセプションの開催

(2)連邦下院議会における日本人ブラジル移住110周年記念式典の開催

(3)「各国の湾の浄化に関する取組」に関するシンポジウム(在リオデジャネイロ総領事館)

 

【内政】

(1)テメル政権の支持率と大統領選各候補者の支持率
(ア)ダータ・フォーリャ社(6月6~7日実施、174都市、2,824人対象、誤差率±2%)
     ルーラ元大統領が出馬する場合は、同氏が依然としてトップであるが、不出馬の場合は、ボルソナーロ下院議員(PSL)の強敵としてシルヴァ元環境相(REDE)が浮上した。ゴメス元国家統合相(PDT)とアルキミンSP州前知事(PSDB)は、PTが候補を立てる場合はほぼ互角。決選投票では、シルヴァ候補がルーラを除く他の候補より優位。
 
(ルーラが出馬する場合)  
1位:ルーラ元大統領(PT)  :30%
2位:ボルソナーロ下院議員(PSL) :17%
3位:シルヴァ元環境相(REDE) :10%
4位:ゴメス元国家統合相(PDT) : 6%
4位:アルキミンSP州前知事(PSDB) : 6%
6位:ディアス上院議員(Podemos) : 4%

(ルーラ大統領が不出馬の場合の決選投票の組み合わせ)
・ゴメス対アルキミン:ゴメス32%、アルキミン31%
・ボルソナーロ対アルキミン:ボルソナーロ33%、アルキミン33%
・シルヴァ対ボルソナーロ:シルヴァ42%、ボルソナーロ32%
・シルヴァ対アルキミン:シルヴァ42%、アルキミン27%
・ゴメス対ボルソナーロ:ゴメス36%、ボルソナーロ34%
・シルヴァ対ゴメス:シルヴァ41%、ゴメス29%

(イ)IBOPE社は,テメル政権に関する世論調査結果(6月 21 ~24 日実施、2,000人対象、誤差±2%)
     ルーラ元大統領が出馬する場合は依然として支持率トップ。ルーラ不出馬の場合は、ボルソナーロ下院議員(PSL)とシルヴァ元環境相(REDE)が誤差の範囲で互角となり、次に、ゴメス元国家統合相(PDT)とアルキミンSP州前知事(PSDB)が続いた。

     ルーラ元大統領の支持層は北東部、とりわけ5万人までの小都市、及び内陸部に集中。ボルソナーロ候補の支持層は男性及び34歳以下の若者が多く、学歴と所得水準は相対的に高い。シルヴァ候補の支持層は北部、中西部に多い。ルーラ元大統領が不出馬の場合、女性、北東部、低所得者、初等教育のみを受けた有権者というカテゴリーは、シルヴァ候補への支持率がボルソナーロ候補を上回った。ゴメス候補とディアス候補は55歳以上の有権者に多かった。地域別では、アルキミン候補は南東部、ディアス候補は南部、ゴメス候補は北東部で人気。北東部においては、ゴメス候補とシルヴァ候補は誤差の範囲で互角となった。
 
(ルーラ出馬の場合)  
1位:ルーラ元大統領(PT)  :33%
2位:ボルソナーロ下院議員(PSL) :15%
3位:シルヴァ元環境相(REDE) : 7%
4位:ゴメス元国家統合相(PDT) : 4%
4位:アルキミンSP州前知事(PSDB) : 4%
6位:ディアス上院議員(Podemos) : 2%
 
(ルーラ不出馬の場合)  
1位:ボルソナーロ下院議員(PSL) :17%
2位:シルヴァ元環境相(REDE) :13%
3位:ゴメス元国家統合相(PDT) : 8%
4位:アルキミンSP州前知事(PSDB) : 6%
5位:ディアス上院議員(Podemos) : 3%


(2)連邦最高裁(STF)がホフマン上院議員(PT)に無罪の判決
     6月19日、連邦最高裁(STF)第二小法廷は、ラヴァ・ジャト捜査を通じて贈収賄と資金洗浄の容疑で起訴されていたPT党首ホフマン上院議員と夫ベルナルド元通信大臣に対し、証拠不十分により、無罪判決を下した。本訴訟では、ペトロブラス社のコスタ部長(当時)の続投と引き換えに、2010年の上院議員選挙の活動資金として同社から100万レアルを収賄した疑いがもたれていた。但し、ホフマン議員はこの他にもラヴァ・ジャト捜査の関連で訴訟2件と捜査1件の対象になっている。

(3)ルーラ元大統領弁護団の攻防
     6月22日、第4管区連邦高等裁(TRF-4)のラバレール副裁判長は、ルーラ元大統領弁護団が行った同元大統領の釈放請求について、司法高等裁判所(STJ)への特別抗告は認めたものの、連邦最高裁(STF)への特別抗告は却下した。これを受けて、STFのファキン判事は、6月26日にSTF第二小法廷で開催予定であった本件審理を中止した。

     6月25日、ファキン判事は6月初旬に弁護団が行った刑の仮執行の停止と出馬資格の判断をSTF大法廷に委ねることを決定。6月28日、ルーラ弁護団はこれに異議を申し立て、釈放の申し立てを行ったが、同件担当のモラエス判事により翌日却下された。また、ルーラ弁護団は、3月に、ルーラ収監回避のため予防的人身保護令の発出を連邦最高裁に求めていたが、右要請が4月にSTFによって却下されたことについて判決不明瞭解明願いを提出し、このプロセスが継続する限りはルーラを収監すべきではないとして、改めて釈放を要求した。

(4)連邦最高裁(STF)がジルセウ元文官庁長官を釈放
     6月26日、連邦最高裁(STF)第二小法廷は、ジルセウ元文官庁長官に対し仮釈放を許可することを決定した。審理の途中でファキン判事が審査のための猶予を願い出たため、仮処分による仮釈放を提案したトフォリ判事に他の判事2人が追随する形となった。少なくともファキン判事が審理に戻るまでは、仮釈放が有効となる。同元文官庁長官は、第二審の第4管区連邦高等裁で有罪判決(禁固30年9ヶ月)が確定しており、5月に逮捕されていた。

 

【外政】

(1)伯・北朝鮮友好議連の発足
     5月30日、伯連邦上院議会はコロル上院議員(PTC-AL)が提案した伯・北朝鮮友好議連の設立を承認。6月7日、上院外交・国防委員会にて同議連が発足した。グラズィオティン上院議員(PCdoB-AM)が会長を務め、コロル上院議員とシャヴェス上院議員(PRB-MS)が副会長を務める。同議連は、コロル議員とシャヴェス議員が4月末の南北首脳会談に際し訪朝した際の成果物であるとされる。

(2)ペンス米副大統領の訪伯
     6月26日~27日、ペンス米副大統領夫妻はブラジリアとマナウスを訪問。ブラジリアではテメル大統領と会見し、宇宙分野の協力を中心とした二国間協力の拡大について話し合った。ペンス副大統領は、5万人のベネズエラ避難民受け入れに関し伯に敬意を示し、かつ、避難民を受け入れている周辺国に対して総額1千万ドルの追加支援と、このうち100万ドル以上を伯向けに拠出することを発表した。マナウスではペンス副大統領夫妻は、避難民収容センターを訪れ、現地の関係者や避難民と交流した。一方、共同会見にて、同副大統領は、ベネズエラ・マドゥーロ政権を激しく非難した。

(3)楊暁渡中国共産党中央政治局委員の訪伯
     6月28日、テメル大統領と中国共産党訪問団を率いる楊暁渡(Yang Xiaodu)中国共産党中央政治局委員(兼国家監察委員会主任)が大統領府にて面会。テメル大統領は、様々な分野における伯中関係の進展を強調。楊委員は、伯中関係進展におけるテメル大統領の努力に謝意を示した。楊委員は、6月26日に成立した国家中国移民の日制定法についても伯国民に謝意を示した。

 

トピックス

(1)第4回自衛隊記念日レセプションの開催
     2018年6月13日、在ブラジル日本大使館では第4回目の自衛隊記念日レセプションを大使公邸にて開催した。

     冒頭、ブラジル・日本両国の国歌演奏に続き、山田大使及び溝田防衛駐在官より挨拶を行った。また,山田大使による日ブラジル防衛交流功労者1名(ジュリオ・サダオ・タカムラ空軍大佐)に対する在外公館長表彰の授与式も併せて行った。

     本レセプションには、ブラジル国防省・海・陸・空軍関係者のほかブラジル連邦政府、ブラジリア連邦区政府の関係者、各国大使及び駐在武官、ブラジリア及びサンパウロの日系社会代表など多くの方々にご参加頂いた。

     また、レセプションでは日本企業による展示、鮪の解体及び日本酒プロモーションを実施するなど日本の技術や文化を紹介し、皆様に楽しんで頂いた。

     本年も盛況であった自衛隊記念セプションは、日伯両国の防衛交流の進展を示すとともに、今後の防衛交流を一層発展させていく機会となった。

     本レセプションにおける山田大使の挨拶はこちら
 

山田大使挨拶
 

溝田防衛駐在官挨拶
 

乾杯の様子
 

山田大使(右から2人目)とタカムラ大佐
(公館長表彰受賞者:右から3人目)等

日本酒プロモーション
 

日本企業(NEC)による展示
 

マグロの解体
 

日本食(寿司)の提供
 

山田大使と日系軍人等
 

山田大使と各国武官等
 

(2)連邦下院議会における日本人ブラジル移住110周年記念式典の開催
     6月21日,連邦下院議会・本会議場において,日本人ブラジル移住110周年記念式典が開催されました。ケイコ・オオタ伯日議連会長が議長代行を務め,山田大使が来賓の一人として出席した。

     冒頭,マイア下院議長の挨拶文がタカヤマ下院議員によって代読され,日本人移住者が伯の発展に大きな貢献を果たしてきたこと,現在も日系社会は各分野で活躍しており,伯社会から感謝と敬意を得ている旨のメッセージが寄せられた。他の出席議員からも一様に日本人移住者や日系社会に対する謝意が述べられた。

     山田大使からは,2014年8月の安倍総理の訪伯以降,要人往来が活発化しており,特に移住110周年の本年は,3月に皇太子殿下の御訪伯,4月にオリヴェイラ上院議長の訪日,5月にヌネス外務大臣の訪日と河野外務大臣の訪伯,更に7月には110周年をハイライトする眞子内親王殿下の御訪伯が検討されている旨を紹介し,この節目に両国関係を更に強化していく決意を表明した。

     式典の後,山田大使は公邸にて式典出席の下院議員等連邦議会関係者や外務省幹部らを招いてレセプションを開催した。

     式典での山田大使の挨拶はこちら

     連邦下院ウェブサイトの記事はこちら(ポルトガル語)
 

山田大使による挨拶
 

国歌斉唱時の様子
 
左からイイホシ下院議員,斉藤JICA伯事務所長,山田大使,アメリア上院議員,オオタ下院議員,
ヘゼンデ下院議員,イシカワ・サンタマリア病院理事長,サボイア外務大臣官房長,マクリス下院議員

左からオオタ・サンパウロ市議会議員,(一人おいて)アベ下院議員,山田大使,オオタ下院議員,斉藤JICA伯事務所長
イシカワ・サンタマリア病院理事長,藤村次席公使,マクリス下院議員,イイホシ下院議員,サボイア外務大臣官房長

左から、イシカワ・サンタマリア病院理事長,マクリス下院議員,サボイア外務大臣官房長,オオタ・サンパウロ市議会議員,
オオタ下院議員,ヘゼンデ下院議員,タカヤマ下院議員,山田大使,斉藤JICA伯事務所長,レイテ・ウジミナス社長,
スギノ伯中西部日伯文化協会連合会会長,サシェッティ下院議員

 
(3)「各国の湾の浄化に関する取組」に関するシンポジウム(在リオデジャネイロ総領事館)
     6月20日、「都市水道-水の浄化と市民の参加」と題するシンポジウムを「明日の博物館」、CCR社、当館他の共催で実施し、建設コンサルタント会社である中央開発株式会社海外事業部(サンパウロ事務所)の上田茂技師長が「隅田川の浄化と東京湾」と題する講演を行った。

     上田氏の参加は、博物館側から、環境先進国である日本から東京湾の浄化に関して講演できる専門家を招聘したいという強い希望があり実現。上田氏の他に、オランダ、オーストラリア、ブラジルから湾の管理を行う専門家も参加した。

     当地は、リオ・オリンピックの時にも話題になったグアナバラ湾の汚染に対する関心が高く、専門的な内容であったにも関わらず約200名程度の聴衆が集まり、質疑応答も活発に行われる等、環境問題の深刻化を背景とした環境対策への意識の高さが見受けられた。

     上田氏は講演の中で、東京湾の浄化過程で、同湾の浄化活動は行われておらず、東京湾に流れ込む川の浄水活動を行った結果として東京湾が浄化された旨、説明したところ、グアナバラ湾自体の浄化が必要であると考えていた聴衆からは非常に興味深い話が聞けたとのコメントが寄せられた。
 

上田氏の講演の様子

質疑応答の様子