最近の経済情勢 2018年6月号

ブラジル・マクロ経済情勢

(1)経済情勢等(5月発表の経済指標)
(2)経済政策等
(3)中銀の金融政策等
(4)為替市場
(5)株式市場

 

(1)経済情勢等(5月発表の経済指標)

(ア)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に基づくGDP成長率予測に関し,5月25日時点では,2018年のGDP成長率は2.37%で4週連続の下方修正,2019年のGDP成長率は3.00%とされた。また,2018年のインフレ率見通しは3.60%で2週連続の上方修正,2019年のインフレ率見通しは4.00%とされた。

(イ)ブラジル地理統計院(IBGE)が発表した2018年第1四半期(1~3月)のGDP成長率は,前年同期比+1.2%で4四半期連続のプラス,前期比+0.4%で5四半期連続のプラスを記録した。

(ウ)3月の鉱工業生産指数は,前年同月比+1.3%で11か月連続のプラスを記録した一方,前月比では▲0.1%となり,2か月ぶりにマイナスに転じた。

(エ)3月の小売売上高は,前年同月比+6.5%で12か月連続のプラスを記録したほか,前月比では+0.3%となり,2か月ぶりにプラスに転じた。

(オ)全国の失業率(2~4月の移動平均)は12.9%となり,前回の公表値(1~3月の移動平均)から0.2%下落して4か月ぶりに改善した。

(カ)4月の貿易収支は,輸出額は198.36億ドル(前年同月比+12.2%,前月比▲2.1%),輸入額は137.90億ドル(前年同月比+28.7%,前月比▲0.1%)で,差引き60.45億ドル(前年同月比▲13.2%,前月比▲6.2%)となり,38か月連続で貿易黒字を記録した。

(キ)4月の拡大消費者物価指数(IPCA)は単月で0.22%となり,前月の0.09%から上昇した。また,過去12か月累計では2.76%となり,政府のインフレ目標(4.5%±1.5%)の下限値を下回る水準で推移している。
 

(2)経済政策等


(ア)5月4日,テメル大統領はテレビ番組のインタビューに応じ,受給開始年齢の変更を含む年金制度改革は不可避であり,次期政権の発足当初にも承認されなければならないと語った。

(イ)5月22日,グアルディア財務大臣は,トラック運転手によるディーゼル価格上昇に反対するストライキを受けて,ディーゼル燃料に課税される燃料税(CIDE)の徴収を停止するとした声明を発表した。

(ウ)5月22日,テメル大統領は,本年10月の大統領選に出馬せず,メイレレス前財務大臣の出馬を支持する旨発表した。

(エ)5月24日,政府とトラック業界は,今後30日間にわたり燃料税(CIDE)の徴収停止とディーゼル燃料価格の10%引下げを条件に,ストライキを15日間停止することで合意に達したと発表した。
 

(3)中銀の金融政策等

5月16日,中銀の金融政策委員会(Copom)は,政策金利(Selic)を年率6.50%に据え置くことを全会一致で決定した。なお,政策金利の据置きの決定は13会合ぶり(過去12回連続で引下げ)となった。
 

(4)為替市場

(ア)5月のドル・レアル為替相場は,前月に引き続きドル高・レアル安が進行する展開となった。

(イ)月の前半は,中銀による事実上のドル売り・レアル買い介入にも関わらず,世界的なドル買い・新興国通貨安の流れに加えて,大統領選の動向や景気回復の見通しに不透明感が広がったこと等を受けて,1ドル=3.6レアル台までレアル売りが急速に進行した。

(ウ)月の後半は,米国の長期金利の上昇や隣国アルゼンチンの通貨下落等を受けてレアルは軟調に推移し,その後もトラック運転手によるディーゼル価格上昇に反対するストライキが引き起こした混乱が嫌気され,レアルは続落する展開となった。月末は1ドル=3.7239レアルで取引を終えた(前月比6.2%のドル高・レアル安)。
 

(5)株式市場

(ア)5月のブラジルの株式相場(Ibovespa指数)は,前半は堅調に推移したものの,後半は大きく値を落とす展開となった。

(イ)月の前半は,新興国株全般の下落を受けて軟調にスタートしたものの,その後は利下げ観測の高まりを受けて値を戻す動きとなった。

(ウ)月の後半は,中銀による予想外の金利据置き決定を受けて株価は大きく下落し,さらに21日から始まったトラック運転手によるディーゼル価格上昇に反対するストライキが実体経済に及ぼす影響が広がるにつれ,株価は続落する展開となった。月末の株価指数は76,753.62ポイントとなり,前月比▲10.9%の大幅な下落となった。